第3話 休憩時間~マリカの夢と異文化コミュニケーション

 授業の後、キャンパス内のバーチャル・カフェテリアで休憩時間を過ごすマリカたち。テーブルに浮かぶ半透明のカップからは、現実世界では再現できない、複雑な香りを持つ「シンタックス・ティー」の湯気が立ち上っている。


 「マリカちゃん、すごかったね!アキラ先生も感心してたよ」ルビナが言った。


 「そうかな?まだまだだよ」マリカは少し照れながらも、目を輝かせる。

 「私の夢は、全ての言語国家が対等に交流できる『ユニバーサル・インターフェース』を作ることなんだ」


 「ユニバーサル・インターフェース?」


 マリカは少し遠くを見つめながら続けた。


 「この世界では、言語間の壁がまだまだ高いんだ。JavaシティとGoヴィレッジのように、相性の良い国同士なら交流も活発だけど、歴史的に対立のあるFortran帝国とRuby連邦のような国々は、必要以上に距離を置いてしまう…」


 「私の『和み亭』でも、いろんな国から来たお客さんが泊まっていくけど、時々言葉が通じなくて困ることがあるんだ。だから、全ての言語を相互変換できる『ユニバーサル・トランスレーター』が作れたら、どんなに素敵だろうって思うんだ」


 彼女の目には、純粋な情熱と希望が宿っていた。


 「マリカちゃん、その夢、私も応援するよ!」ルビナが笑顔で言った。

 「私たちの世代なら、きっと言語の壁を超えられるはず!」


 その時、校内アナウンスが流れた。


 「まもなく次の授業が始まります。生徒の皆さんは、各教室へお集まりください」


 「あ、次は『実装演習』だ!」


 生徒たちが次々と席を立つ中、マリカは一瞬、教室の窓の外を見た。

 そこに映る異世界の景色は、彼女の描く未来と同じくらい美しかった。

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