西園寺 創(さいおんじ・はじめ)

[log] 1998/10/10 01:33:00

誕生。東京都杉並区。

母は図書館司書、父はほとんど家にいなかった。

ノートの隅に、自分で小説を書いていた。

「主人公になれないなら、主人公を書けばいい」と思っていた。


> assign.name: 西園寺 創

> early.habit: fiction.dreamer


[log] 2016/04/02 19:00:00

深夜、ゲームショップからの帰り道。

青信号、ブレーキ音、地面。

次の瞬間、空と魔法陣の光。

「おぉ…勇者殿、ようこそ異世界へ!」


> cause_of_death: traffic

> rebirth.trigger: undefined


[log] 異世界暦001年 春

ステータス画面。

「わかりやすすぎる」

手にした剣の名前が中二病的すぎて、笑えなかった。


> suspicion.level: low

> genre: self-aware.fantasy


[log] 異世界暦001年 秋

イベントが都合よすぎる。

ヒロインの反応が「自分の妄想通りすぎる」。

夜、星を見て気づいた。**この空は“演出”されている。**


> realization: partial

> isolation: rising


[log] 異世界暦002年 冬

王都図書館、禁書エリア。

「お前は物語だ」という一文。

自分の記憶と寸分違わぬ描写。

その中に“死亡フラグ”まで書いてあった。


> awareness: awakened

> fate: pre-written


[log] 異世界暦002年 冬末

作者の癖に気づく。

「一人称で思考が長くなると、誰かが背後に立っている」

言葉を減らすことで、**物語の展開が止まる**ことを実験。


> language: weaponized

> character.agency: attempted


[log] 異世界暦003年 春

“読者”の存在を疑う。

見られている、という確信。

戦いの最中、叫ばなかった。

感情を、演技しなかった。

そのとき、**世界が一瞬、バグった。**


> break.point: narrative.glitch

> background.music: paused


[log] 異世界暦003年 夏

ラスボスの前で言った。

「これを読んでる誰か、次はお前の番だ」

剣は振らず、立ったまま倒された。

そして、ログだけが残った。


> ending: deliberate.loss

> role: resigned.hero


[log] 最終出力:

「自分が創作物だと気づいた瞬間、人生は終わりじゃなかった。

 “生きた”って記録だけは、誰にも消せなかった。」


> power.off

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る