松田 篤(まつだ・あつし)
[log] 1924/07/08 04:12:03
宮崎県の漁師町にて出生。
父が海を見ながら「強い子になりますように」と手を合わせた。
> assign name: 松田 篤
> initialize childhood.memory: 海の音
[log] 1931/04/01 08:00:00
小学校入学。教室の匂いと黒板の粉。
作文「ぼくは大きくなったら海軍になります」
> dream.set("日本を守る")
> system.note: 純粋
[log] 1939/10/10 12:21:00
少年飛行兵に志願。母は「帰って来るんよ」とだけ言った。
父は背中を向けたまま黙っていた。
> enlistment.accepted
> fear: hidden
[log] 1941/12/08 12:00:00
戦争始まる。「いよいよか」と整列中の声。
青空が異様に澄んでいたのを覚えている。
> readiness_flag: raised
> internal voice: muted
[log] 1944/10/25 17:00:03
特別攻撃隊への編入命令。
整備兵が目を逸らす。仲間の手が少し震えていた。
> mission: tokko
> override survival = FALSE
[log] 1944/10/26 03:11:44
遺書を書く。「お母さんへ」
「どうか僕の死を誇りに思わないでください」
「でも、最後まで逃げなかったことは、ほんとうです」
> save letter → pocket_envelope.txt
> status: sealed
[log] 1944/10/26 06:30:00
出撃前。機体に乗り込む。
上官が「いい顔してるな」と言った。
笑ったつもりだったけど、涙が出ていたかもしれない。
> final_check complete
> execute mission.launch()
[log] 1944/10/26 07:03:12
突入目標:米空母(名称不明)
敵機銃応戦中。「行くぞ!」の声。風の音。エンジンの震え。
> approach vector: locked
> thoughts: unknown
> breath: held
[log] 1944/10/26 07:03:47
衝突確認。大音響。火花。沈黙。
> body: vaporized
> voice: lost
> archive point: not found
[log] 1945/08/15 12:00:00
戦争終結。
彼の名前は知られず、遺体も帰らなかった。
> gravestone: 無名
> letter: 燃え残り、海に漂う
[log] 推定最終出力:
「せめて、誰かが今日を生きのびてくれますように」
> power.cut
> memory left in: 青空のどこか
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