文明が崩壊した世界では、ダンジョンクリアで神様から王権が貰えるけど俺はそれより神を超えたい~第三次世界大戦は神の怒りで終了し人類はこん棒と意志で闘うようです~
第29話 良心に反することをしてはいけない
第29話 良心に反することをしてはいけない
俺たちが敵集団のすぐ近くまで接近したところで改めて敵の集団を確認すると。
赤反応の敵は現代日本では見慣れない革製の鎧や布製のローブに身を包んでいる。
そして手に持っているのは杖や剣だった。ダンジョン産だろう。一瞬こん棒に見間違えたが長さと細さから恐らく杖だろう。
ロッド的な感じじゃなく、また現代で思い浮かべる細い杖でもなく、木をそのまま削り出したような長めの杖。
魔法的な何かだろうか?それに剣も。何かしらの効果があるのかもしれないので注意が必要になるな。乱戦になった時は特に。
ここまで基本的には遠距離での戦いが多かったからな。そりゃ遠距離の攻撃手段があればそっちを選ぶと思うんだよな。
歴史上戦争の道具が剣や槍から銃に変わっていったように。弓などはあったろうが習熟度の問題があっただけだし。クロスボウなんかも発明されてからは徐々にその比率を高めていったわけで。そのなかで近距離の武器を持つ意味はやはり何かしらの効果を疑っておいた方がいい気がする、
しかしこのままだと味方集団との接触も近い。両者の争いが始まる前に出来れば先制しておきたい。
友軍であることはワッペンみたいのを貰ってるから分かるとは思うが争いの途中でいきなり現れてしまっては勘違いの元でもあるので。
まずは避難所での反乱分子を制圧した時同様に敵集団に対してその重さを増すように祈りを始める。
「悪いが宣戦布告も警告もなしだ。八百万の神よ」
質量を急激に変えられた敵集団の動きが止まる……はずだったがローブを着込んだ数人には効果が無かった。
村上の力と同じようにこちらの意思の力の干渉を防ぐ効果があるか?
なら物理だ。未だに現役のスリングでの投石を遥香と雫両名が行う、海斗は投球だ。こっちは道中で集めたジャンク各種。
金属な分ダメージは期待できるかと思うが―
ローブの男が杖を振るうと風が巻き起こり石とジャンクはあらぬ方向にずれていってしまう。
いやいやどんだけの風力なんだよ。それでいて魔力の消費はそうでもないのか?その場で固まる集団を見て思う。
投石に対して脅威を感じていれば散らばるなりしそうなものだが寧ろ固まるってことはあの防御を何回も使えるってこと、かもしれない。
それかブラフか。人間相手は考えることが多くて困る。魔物ならその辺が単純なんだが。
「自衛隊か?いや動きが軍人のそれではないな。素人を徴用し始めたか。もっともそれなりに力はある様子だが。いきなり攻撃を仕掛けてきた相手にも我々は寛容なのだよ。どうだね?宗旨替えしないか?力のあるものであれば我々は歓迎するぞ?」
赤反応の男は余裕の態度でこちらに話しかけてくる。仲間のうち数人は今も地面に縫い付けられているのに随分と余裕だな。
答える代わりに鎧装備の連中への質量増加を強化してやり、そいつらの意識を刈りとる。
「随分と好戦的だな。この力は重力か?一般兵には通じたかもしれんが我々には通じんぞ?みればそっちもダンジョン産の装備を持ってるじゃないか。
この世界で柔軟にダンジョンへの適応を図ったものたちを、出来れば受け入れてやりたいんだがね。話を聞いてはくれないのかね」
「他所でアンタらの好戦的な姿を見てたからな。話が通じないものと思ってたんだ。それにこの世界で人類同士の争いを始める連中と分かり合えるとは思わないんだが」
「我々だって争いたくて争っているわけではないのだよ。素直に江戸城の攻略を我々に任せてくれていればこうはならなかったというのに。
世界の理が変わったというのに旧時代の常識で対応しようとするやつらに任せてなど置けないだろう?」
旧時代?まだ一カ月程度だぜあれから。随分と大仰な物言いだこった。教団名乗ってるだけあって説法がしたようだからもう少し喋って貰いたいんだが。
なんとかうまく情報を引き出せないものか。
「この状況で民主的に決めていきましょうって訳に行かないってとこは理解できるがね。それにしたって拳で解決ってのも違うと思うんだがね。人間ってのは寄り集まって力を合わせるからこそ力を発揮できるもんだと俺は思うぜ?共通の敵に対して手を取り合う道を選んでない時点であんたらはおかしいと思うが」
「敵?ダンジョンや魔物のことを言っているのかね? あれは恵みだよ。新たな世界に神が齎した恵みだよ。この力も。それを敵? 敵というのは神の恵みを理解せずにいる者たちのことを言うと思うのだがね」
「それこそおかしいだろ。魔物のせいで多くの人が避難を余儀なくされて。そもそも人類が築いてきた文明を破壊されて。
しかも一方的に。神のされることとは思えないがな。因みに俺は今のところ八百万の神を信仰しているよ。ぽっと出の神じゃなくね」
「残念だね。力を得たのに神への信仰が足らんとは。それに神を愚弄されては何も無しとはいかんな。お仕置きが必要だろう、やれ」
赤反応の男の命令で周囲にいたローブの男3名全員が杖を構え意識をこちらに向ける。魔法か―?
「ノイズをあげるよ。集中出来なくなるでしょ?僕だって成長してるんだよね」
海斗は自身や俺たちを含めた周囲の意思を無作為に連中へと届ける。向こうの意思は貰えなくても強制的に余計な思念を押し付けるわけだ。
俺たちだってそれなりに意識しなければ意思の力は使えない。ジャミングってわけだ。これに対する訓練はしてないだろ?
「ダメですっ。なにかごちゃごちゃと頭が割れるようでっ……集中できません」
「なら杖だけでも振りなさい。それくらいなら出来るでしょう」
杖持ちたちがそれを振るう!まずいか!? 風、いや強風、暴風か!
吹き飛ばされそうになるが重量を増すことで対応。その場に踏みとどまる。もう少し、もう少しだー
小石や砂が巻き上げられてわずかずつだが傷つけられていく。地味に痛いし細かいダメージも蓄積するとまずいが、そこは雫だ。
「自然治癒を増強します。かすり傷程度なら気にしなくても、大丈夫、です!」
継続的な回復力。人が本来持つ治癒能力を極限まで増すことでかすり傷程度なら本当に出来た瞬間に回復してしまう。
雫もその力を増してきているのだ。これで暫くは膠着状態が作れる、そうなれば―
「っ!?自衛隊ですか。厄介な。おい、貸せっ! 私がアッチをどうにかする」
待ってたぜ友軍。やはり悲しいかな投石とわずかに作られたクロスボウではあるが遠距離攻撃の手数が増えた。
これで膠着状態が解かれ攻勢に出れるか?と思われたが赤反応の男が動く。
赤反応のローブの男から杖を受け取り風を起こすとそこに炎をまとわせながら火炎放射器のような攻撃を友軍に向けて放つ!?
海斗はジャミングを継続しているがあいつには効いてないのか?そう言えば他の連中と違って焦る様子は見られなかったが。
「うおおっ!?隊長、これでは!」
「伏せろ! 火に巻かれないように。いつまでもは続かんだろ。ココは耐えろ。マスクも使用だ!」
それはどの程度続いただろうか、俺たちを襲う風がおさまりを見せるころ、それまでずっと続いていた火炎放射は―
友軍を無力化していた。
炎に焼かれたわけではないだろうが、熱か、もしくは……
「雫っ! 頼む! 向こうを見てくれ。遥香はフォローを!」
「粘られましたが無力化出来ましたか。自衛隊とは名乗っても軍人ですね。鍛え方が違ったようです。ですが人体である以上は影響は避けられない。これでゆっくりとあなた方を――」
赤反応の男がこちらを振り返るが周囲のローブの男は視界に入らなかっただろう。
全員、地面に倒れ伏しているんだからな。
「やってくれましたね?そのこん棒、やはりダンジョン産ですか。近接が先にやられたのが痛かったか……」
赤反応が意識を集中している間に風圧の弱まった隙をついて海斗が突貫。ローブの男を打ち倒していたのだ。
ローブは魔法的な防御がある分、物理はそこまでって感じだったか。そこは本来、一般兵と呼ばれた鎧が担当するところだったのだろう。
重量を増して風圧を耐えながら進む海斗はローブの男たちにとっては鬼にも視えただろうな。
ともあれ戦況は変わった。
敵は取り巻きを無力化されこちらは杖も手に入れた。もっとも使い方など試してはいないので使えるかは分からないが。
そして。友軍の到着を待っていたがそれは赤反応に無力化された。雫の治癒で命は落としていないが意識は暫く戻らなそうだ。
残ったのは俺たち4人と赤反応の男。他の連中とは違い、ジャミングの影響は受けず未だダメージはゼロ。
その攻撃力は友軍を瞬く間に壊滅させた。今までの敵とはまた一線を画す相手だが。
教団との初戦闘は第2ステージに突入していく――
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