第25話 ダンジョン下層
川ダンジョンではなく街の中心部あたりにあるダンジョン。ここは既に2回のボスは緑の反応を持っていた男、今は青色。どうやら同盟関係になったらしい。
今は味方である坂田がクリアしている。そのため2階のボスもそ含め階から下に降りる階段の前まで特に苦労なく降りて来れた。
途中でお互いの能力を伝えあったがどうやらコイツはアルコールの操作ができるとのことで普段過剰に摂取ているアルコールを高濃度で敵周囲に展開。
魔物でも生物的な存在であれば効果があるらしく昏倒するか場合によってはそのままってこともある。
これは対人戦では恐ろしく強くないか?ガスマスク必須だろうがそれでどこまで効果を発揮するか分からないしな。
比較的防御に関する道具はその効果を発揮してくれているんだが、最新ガスマスクが文明の利器とされるかは定かではない。敵に回さないで良かったかもしれないな。
「この先が恐らくボスなんだよねー。ここまで4人で旅しちゃうあんたたちならやっぱり感じるんじゃない?絶対そうだと思うんだけどさー」
「そうだな、確かに君がここで引き返したのも分かる。怪しい空気を感じるな。この階から出てきたアレも気になるしな」
「そうなんだよねー。アレだと毒的なのが効かないから困ってたんだよね。だから、協力してほしかったんだよー」
「私は出来れば帰りたいけど。正直、苦手なのよ。魔物と割り切ってなんとか見ることもできるけど、まだ少し慣れないわ」
「その分今回は私が頑張ります。一応、この階では効果もありましたし」
今話しているアレってのは幽霊系というかレイスと言うか、実態のない敵が出現してきたのだ。
坂田にとっては非常に相性が悪い。俺にとっても。なんせ元から重量がないしとうとう過去の地球には存在していなかった完全にファンタジーな敵のお出ましだ。
石象も十分にファンタジ―だったがまだ物理法則の範疇だった気がする。象も知ってるし石や金属も知ってる範囲だった。
幽霊ってのは見たことないからなあ。もしかしたら実は以前からいたのかもしれないが塩とかも効かなかったし。そもそも坂田のアルコールが効かない時点でお察しではあったが。
それでもダメ元で試した雫の治癒の力は効果あったのは、完全にこの世界がファンタジーになりつつあるってことなんだろうか。
治癒の力は聖なる力で霊系統に効果がありますって、そういう感じだよ。
ばかばかしくも感じるが有効な手段であれば使っていく。そうしていくしかないんだから。意を決して階段を下りるが、初めての下層部、久し振りの強敵、とならないことを願うぜ。
階段を下りたが退路はある。どういうことだ?何度もダンジョン2階を攻略したが毎回同じように退路は無かった、
下層は違うのか?撤退が必要になるケースがある、から退路がある?石象以外では確かにボスと言ってもそれほど強くはなかったが石象の時は何だったんだ?
他の下層5階も経験してみないと分からないが今後、5階へ潜っていく時には少し心配は減ったか。
おっと、敵の確認も必要だな。うん、分かりやすい。敵は一体。そして空間は狭い。体育館くらいか。その中央に立っているのは
落ち武者かな。長髪を垂らして顔はボロボロ、鎧を着こんで日本刀を持ってる。決まりだな、仮称、落ち武者。
実体はあるのだろうか?てっきり幽霊系が来ると思っていたので意表を突かれたがこれなら重力で潰せるか?
早速、坂田が落ち武者周辺の空気にアルコールをまとわせる。が、落ち武者は意に介さずこちらに悠然と向かってくる、
姿かたちははっきりとしているが死んでる設定なのか呼吸をしていないのだとすれば坂田の攻撃は意味がないだろう。
俺もその力で質量をますように祈るが落ち武者の歩みは止まらない。幽霊も見えてはいたわけだし、コイツも重さはないのか?
しかし本来なら重さが無い以上は威力も無いはずだが……海斗が接近しバットで殴る。未だに近接武器はバットなんだよなぁ。
いつまでこん棒で戦うんだろう俺たち。
戦況は悪くもなく良くもなく。ココまでのボスもそうだったが攻撃はあまり脅威じゃないことが多い。石象の破壊力くらいだったな脅威は。
日本刀持ってるけどボロボロだもんなぁ落ち武者。軽い切り傷は雫が治せるし、致命傷は案外負いにくいのが日本刀。
バッサリ切れることはそうそうないらしく傷のつけ合い出血待ちみたいな実態があったとかなんとか。しかし魔物である落ち武者もそうとは限らん。
一カ月前なら見えなかったかもしれないんだが身体能力の向上した今ならそれほど脅威に感じないが、逆に有効打もない。
打撃が通らない。ある意味で石象の時以上に手が無い状況だ。相手がアンデッドでなければ撤退だっただろう。
一通りの打撃攻撃を確かめさせてもらったし早速だが切り札を切るか。石象の地震のようなものが無いとも限らんからな。
「行きます! 八百万の神様! お願いします」
海斗によって日本刀を叩き落とされた落ち武者は拾いあげることなく刀を手に引き寄せることを繰り返していたが。
そのタイミングは隙でもある。そこで雫の治癒の光が落ち武者を包む。
先ほどまであらゆる攻撃を意に介さずにいた落ち武者の表情が苦悶の表情に変わる。魔物にも表情があるのは初めての体験だ。
実際は何も感じていないのかもしれないが明確に表情に違いがあるのが分かる。例え崩れかけた顔であっても。
それほどにアンデッドには治癒の光は致命的であったのだろう、落ち武者の鎧ははがれ檻その内側には何も存在せ素。
最後には顔だけとなった落ち武者は、断末魔の叫びをあげる。
「キャアアアアアアアアアアアッ!!」
くそっ、音量がデカすぎる!鼓膜が破れるかと思ったぜ。最後の最後に余計な事、を……
本当に余計なことをしてくれたな。遥香から伝えられた内容は坂田の黄色化。坂田を見れば正気を失った目。
精神汚染的な攻撃か!俺たちは、大丈夫か。そこは精神力の問題?分からんが、それでもまずい。
坂田を殺すわけにもいかない。まだ殺人を迫られたことはないが世紀末君の時も馬場の時もそうなっても仕方無いと割り切って攻撃は出来た。
だが坂田はまずい。共闘したからとか悪いやつじゃなかったとかそういう事じゃない。コイツがいなくなればこいつのコミュニティは崩壊しかねん。
流石にそれは看過できんぞ?
「大丈夫だと思います。僕が、なんとか」
この状態でも海斗の力で坂田と意思疎通ができるか。海斗にかけるしかないが……
「最上さん、念のために持ってきていたアレを坂田さんに投げてください。多分、それで大丈夫です」
「は? コレを? あいつに何の効果が、って分かった。お前が言うなら投げるぞ?」
海斗に促されて投げたそれは度数の高い酒だ。消毒用というよりは燃料、というかアンデッドに火が有効かもと思って持ってきた者だ。
4階のアンデッドに効果が無かったので落ち武者に使用しなかったがコレを薙げてどうするんだ?あいつにアルコールは効かない
「あー、生き返ったー。やっぱりお酒飲めば他のことどうでもよくなるよね。それに、意識が朦朧としてたけどこれですっきりしたよ」
まさに全身で浴びるようにしてアルコールを摂取した坂田が復活した。マジで?どうなってんのコレ。アル中ってこういうもんなの?
それか坂田の意志か。アイツは面白おかしく酒飲んで暮らしたいという非常に俗な意志を持っているが。自らの意志を叫びによって持っていかれた分を、酒の力で強引に引き戻した?
それかお神酒みたいに酒に浄化作用があるのか?いや、無いだろうな。それならアンデッドに酒が効くはず。シンプルに坂田の力なんだろう。
海斗の力も作用したか?もしくは俺か。分からんが結果良ければすべてよし。
それに大量だぜ。アイテム類が5個か。コレは5人だからじゃなく5階だからか?2階のボスもたまに2個落としたしな。
MAXが階数なのかもしれん。それで5個ってことは運が良かったんだろう。とは言え坂田も疲弊しているしな。回収後はまず退却。その後に分配だな。
それに分かってたよダンジョン。先があるんだな。だが潜るのは江戸城でだ。そこで限界まで潜ってやるから待ってろよ?
ぽっかり空いた穴と下に続く階段を見てうんざりしながら帰りの途に就くことになるとはね。
しかし収穫もあったな。俺はドロップしたアイテムを見ながらそう思うのだった―
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