極夜の脳内
椿生宗大
Opaque thinking
目の前に広がる景色
先の山の青々とした格好を
目線で擦っているうちに
傾いた日は
その輪郭を淡い色の空に溶かしていく
懐かしい気持ちになる
消えていくような
ぼやけていく光景に
昨日の自分を重ねる
今日の僕を支える記憶が
ずっと向こうの揺らいだ地面や
青く燃える山の淵に重なっていく
懐かしさは空虚を運んでくる
自分のことが分からなくなって
穴の空いた心臓を風が吹き抜けて
少し残っていた血液を乾かしてしまう
日中の光は頰に熱をもって溜まっている
それを冷ますためか
目の前の光景は揺れて
懐かしさを増しながら
心に向かって涙は落ちた
極夜の脳内 椿生宗大 @sotaAKITA1014
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