見えた心の空
第10話 君は好天
憂と二人で遠出かぁ…。
私は若干上の空になりながら、少し長い移動時間を二人でおしゃべりしながら過ごした。
今日の憂はいつもより楽しそうで、私も嬉しくなった。
「今日行く水族館はね、ペンギンもいるしアザラシもいて、評判のいいイルカショーもやってて、あと海底トンネルもあって、すごい楽しいんだ。一日いても飽きないからきっと恋夏も気に入ってくれると思う。」
「へぇ〜!楽しみ〜!!」
約一時間、電車に揺られながら水族館のことをいっぱい聞いた。私の期待値はすごく上がっていた。
「わぁあ!!水族館だぁ!!」
外装はきれいな海の風景と海の生き物の可愛らしいイラストで見た目からも大きな水族館であることがわかる。
「あははっ、どういう感想?」
「何言うかわかんなくなっちゃったの!笑わないでよ〜…!」
「ごめんごめん。入ろっか。」
「うん!!」
中に入ると雰囲気のある内装で、青い証明に床の小さなライトで海にのなかにいるような気分になった。
「わぁ…!」
「こんにちは、何名様でしょうか?」
「高校生一人と中学生一人です。」
「かしこまりました。」
「失礼ですがお二人の関係は?カップル割が適用される場合がございまして、現在の価格から10%引きになっておりますが…」
「えっと…」
憂は戸惑った声を出して、私を見た。
「どうする…?」
「ん、んーと…」
私はもう引けないと思って、こう言った。
「か、カップルですっ…!」
顔が熱い…憂も目を丸くして赤くなってる。
「かしこまりました…!」
受付の人も私達の顔を見て、少し戸惑いながらもチケット対応をしてくれた。
チケットを受け取って、二人何も話さず水族館の中に進んでいく。
何を話せばいい…?そう思いながら、私はふらつきを軽く感じながら歩いた。
「こ、恋夏…あの、カップルって言ったのはさ…ちょっと安くなるからなんだ、よね…?」
「う、うん…!!そ、そう!安くなるなら言わなきゃ損…じゃない?!」
「そだね。そうだよね。」
「…なんかゴメン…」
「そんな事言わないでよ、ちょっと安く済んだから売店で色々買お!」
「そうだね!」
そう言っていつもの調子に徐々に戻ってきた。
「わ!見て恋夏!!」
「なになに?」
「クラゲだよクラゲ!」
気がつけば憂はクラゲが泳いでるアクアリウムの近くにいて、キラキラした目でクラゲを見ていた。
「きれいだね。あ、おばあちゃんにも見せよっと。」
「やさしいね恋夏。俺絶対母さんに見せてやんない。」
いたずらっ子みたいな笑みを浮かべた。いつもの憂だ。私もさっきのことは気にしないでいよう。
「ほかは何があるかな〜。」
「あっちの方見てみよーぜ!恋夏!」
「うん!」
壁一面に広がった大きな水槽に二人で近づく、他にもいろんなお客さんがいてみんな思い思いに楽しんでいる。
「うおお!見て見て恋夏!!大きい魚だ!でけー…!」
「ほんとだっ。笑」
「他にもいろんな魚がいる〜!あれクマノミかな?あれはナンヨウハギだ!」
憂は子供みたいにはしゃいでいる。
「ふふっ、ほんとだ〜!かわいい!他にもきれいな魚いっぱいいる〜!」
水槽に釘付けになっていると、隣にカップルらしき女の人と男の人がやってきた。
「うわー!来てよかったね!陸!めちゃきれいじゃん!」
「ほんとだなぁ。カップル割でちょっと安くなったし!あ!あれ美菜が好きなチョウチョウウオじゃね!?」
「わ〜!!ほんとだぁ!!」
か、かっぷるわり…!!
「い、いこうか…憂。」
「そ、そだね。恋夏…。」
また思い出して変な空気になってしまった。そこから移動して、海中トンネルについた。
「うわぁ〜!!すごい!!きれー!!」
「ほんとに海の中に入って歩いてるみたいだな。」
今度は打って変わって私のほうがはしゃいでいる。こんな水族館来たことがないから、憂といっしょにいるから楽しい。
それから色んなとこに行った。ペンギンの水槽に行ったり、イルカショーを見に行ったり、ペンギンの館内ウォーキングを見たり…イルカショーでは濡れたけど楽しかった。
「いっぱい見たね。」
「うん!楽しかった〜!」
「お腹空いてない?俺ちょっとお腹すいちゃって…」
「実は私も…」
「じゃあ、プリン食べよ!ここのプリン可愛くて人気なんだ。」
フードコートに移動して、プリンを注文して二人席で食べる。
ペンギンをもしたプリンで、体はココアプリンでお腹はミルクプリン、くちばしは黄色いホワイトチョコで作られて、目はチョコチップだ。
一口食べてみる、プリン自体は固めプリンだ。
「ん!こういうのって見た目重視であんまり美味しくなかったりするけど割と美味しいね。」
「…そうだな、甘めが控えめでぱくぱく食べれちゃうな!」
二人食べ終わって、お土産を買うために売店に行く。
売店は広くていろんな物が売っていた。食べ物から文房具、衣類もあった。
「すっご、広い!!」
「何買ってく?色々あるんだぜ。文房具も可愛いのいっぱいあるし、マスコットあって、ほら!このアザラシのやつとか!」
「えっ!かわいい!!これにしよ!」
憂の指したアザラシのぬいぐるみマスコットを手にとった。そしたらいい考えを思いついた。
「ね、憂」
「ん?」
「これおそろいにしない?」
「!…いーじゃん!そうしようか!」
二人アザラシのマスコットを購入する。お揃いのものにも憧れがあった私にはたまらなかった。今日はたくさんの憧れが現実になった、最高の1日だ。
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