第16話同棲
長女の楓が彼氏と同棲すると言い出した。
「いいでしょ?2人でやってみたいの。」
「向こうの親はなんて言ってるの?猫じゃないんだから簡単にどうぞ。なんて言えないよ。」
「好きにして良いって。聖人も家を出たいみたいだし。父親同士同級生だしパパにはもう話いってるから。」
高校時代から付き合っている佐々木聖人君と同棲…。楓は料理だって苦手だし大丈夫なのか?彼に嫌われると思うけど…。でも、私も好きな人とずっと一緒に居たい気持ちはよく分かる。身元も分かる人だし…。
「大変だよ。それでも良いの?」
「大丈夫だよ。聖人も夜勤とか有るしずーと一緒にいるわけじゃないから息も詰まらない。きっと良い距離感だよ。」
「ホントか?一緒に暮らしてるのに淋しいって事も沢山出てくるよ。知らなくても良い事もお互い分かる事もあるし…。」
「大丈夫。分かって納得して暮らしてみたいの。結婚してもパパやママみたいに別れるんだよ。別に同棲くらい良いじゃん。」
「…。準備とか大丈夫なの?」
「大丈夫。やれるから。」
そう言って楓と聖人君は同棲の準備を始めた。アパートを探し家具を買い電化製品を揃え2人で生活しだした。近い内に食事一緒にしよう。と約束をして楓は家を出て行った。フットワーク軽い、軽すぎでしょ?と思うほどだった。
「俺、出来るかな?そんな風にアパート契約とか?俺自分でお金下ろしたことも無いし、車買う時も父親に話して父親が買って来た感じ?だったし。」
「え?そうなの?ATM使った事無いの?現金どうしてんの?」
「母親に通帳とカード預けてる。毎月使う分だけ下ろしてもらってる。残高とか見たこと無いかも…。幾らあるかな?」
「それは凄いね。何でそんな感じになってるの?」
「育ててもらったし、今も食費とかに使って良いって言ってある。」
「…。自分で管理したほうが良い気はするけど。あ、スマホから通帳残高とか見れるはずだよ。振り込み出来たりアプリ?あるよ。」
「え?そうなの?農協だけどあるかな?やってみるか?」
30歳…。お金に無断着なのかな?でも、ネットで買い物とか普通にしているようだしコレって今どきの人なのかな?そんなに面倒な事でも無いんだけど…。
「俺、仕事辞めても食べて行けるかも。」
「何で?何のこと?」
「貯金額大台に乗ってた。」
「へー凄い。お金持ちじゃん。12年働いたもんね。あ、車買い替えたら?」
「ねー新しいの欲しいんだけど、面倒で…なかなか見に行けない。」
「一緒に行こうか?店の人にお母さんと来たって思われるかもだけど…。」
「んー思われないでしょ。見に行くかー。」
内心、お母さんって思われたらショックだし行きたく無かった。見た目奏斗君はとても若いし。
「一人暮らしとかも良いんじゃない?」
「いいね。そしたら毎日ルミさん来てね。一緒に暮らそう。あ、子供どうしよう?お母さんの彼氏です。って挨拶しないと。」
「私がアパートに通うから。早く借りてね。週末はお泊りさせてね。」
2人で妄想をして笑い合った。来ることのない現実を。
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