第5話休日出勤

 年末数人が出勤になった。奏斗君と私で工程員にどの様な仕事を振るか?それのタクト(何秒)は?などラインの見直しをした。

 私には難しく奏斗君の仕事をみているだけだった。工場長からは見て覚える事からまずスタートだから…と言われ隣に座って見ていた。奏斗君は私に説明しながらカーソルを動かしていく。慣れない作業で目も頭も疲れてきた頃やっとお開きになった。外は薄暗くなっていた。


 「奏斗君、飲んで帰らない?」


めちゃくちゃ勇気を出して話しかけた。少しの間があって、


 「…いいですよ。何処行きます?」


 えー本当?!嬉しいー‼️


 「何処行こっかー?取り敢えず、年末だし片っ端から電話してみよう。」


 空いていたのは小さな個人の焼き鳥屋。

私的には何処でも良かった。一緒に居れるそれだけで嬉しかった。18歳も年齢が下の一番人気の奏斗君が私と飲んでる。優越感で満たされていた。好きになってはいけない。自分の気持ちにブレーキをかけながらグラスを口に運んだ。ちょっとだけ遊び心でほんの少し隙を作って奏斗君がどんな反応をするか見てみたくなった。勝負は五分?いやー?7.3かな?

きっと私に引っかからないそう思っていた。

 店を出てコンビニまでタバコを買いに行くことにした。寒さと飲んだ勢いで奏斗君と腕を組んで歩いた。顔を見あげ


 「コレってセクハラ?腕組んで歩いて嫌?」


 「セクハラじゃないよ。寒いしこのままで歩こう。」


 心臓がバクバクしていた。買い物を終えてこれからどうする?ってなってまだ一緒に居たくて二軒目に行くことにした。

 低いフェンスを軽々と飛び越え向こう側で奏斗君は両手を私に広げて待っていた。その姿が格好良すぎて死んじゃいそうだった。私はゆっくりフェンスに手をかけ金網に足をかけて奏斗君の腕に飛び込んだ。

ロミオとジュリエットみたい…。勢いと恥ずかしさとで道路の真ん中まで数歩絡まるように歩き奏斗君に抱きついていた。

 店に入り初詣に行く約束をしてそれぞれ運転代行を頼んで帰路に着いた。シャワーを浴び布団に入る頃奏斗君からラインが来た。


 「今日は楽しかった。ルミさんと飲めて良かった。」


 えー!ライン来たんだけど!どうする?もしかして釣れたか?でも私18歳上だし社交辞令かな?でも、初詣の約束もしたし…。もしかして…でも、好きになっても未来は無いし…。辛いだけかも。私が大人な対応をしないと。踏み込んではいけないと思いながらも

私も楽しかった事を返信して幸せいっぱいの気持ちで眠りについた。


 

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