第11話 初めましてキリです

「清水様。お久しぶりです。」

「久しぶりですね。熊野のヤタガラスの

マサル。フウマ。リキ。

それに今日は初めて見る顔が。」

「清水様。初めまして錦の天神さんのところの金髪自動おみくじの獅子舞キリです。」

「よく来てくれました。天神は元気ですか?」

「はい。元気です。」

「そうですか。長い書物を書きたいと言っておったが、どうなったか。

出来上がったら読みたいものだ。

よろしく伝えてくださいね。キリ。」

「はい。」

「天神は書物も上手く書くが、物知りで話が、面白い。会いたいものだ。

近いうちに尋ねてくるように伝えておくれ。

金髪自動おみくじの獅子舞キリよ。」

「はい。確かに。」

フウマが「ところで清水様。今日はやけに神様達が多いような気がします。

それに少し癖のある神様達もたくさんお越しのようですが、何かあるんでしょうか?」

「これはこれは。熊野まで回覧が届いていなかったのか?門番の狛犬たちの伝達を忘れたかな?」

「清水様、今日は何があるのですか?」

「今日は年に一度の力比べのイベント日です。

夏に入る前のこの時期に毎年行っていますよ。」

リキが「そうだ。そうだった。マサル。フウマ。すまない。

僕が、その力比べに、でたくて清水様の門番の狛犬様たちが卯月の1の日に空を飛ばれて回覧をお持ちされた紙をマサルとフウマに見せるのを忘れていた。すまない。

今回のこの修学旅行で頭がいっぱで。

本当にすまない。」

清水様が「修学旅行か。それはそれは。

しっかり勉強していくように。

熊野のヤタガラス。金髪自動おみくじの獅子舞キリよ。

ただし、今日は力比べで強面の神様がたくさんいますね。気をつけてください。

それからリキ、力比べのエントリーは今からでも間に合いますよ。頑張ってください。」

「はい。」

「では。また後でな。そうじゃ、キリよ。

天神に紙を買ってまいれ。天神が喜ぶぞ。

ここ清水は神様達の御用達の一番のデパートだからな。

修学旅行土産には一番じゃ。ほほほ。」

「はい。清水様。そうします。」

そう話されて清水様は消えられた。

俺様は驚いていた。清水様のお姿は水だった。

「マサル。清水様は水なのか?」

「そうだ。水だ、この都の地下には琵琶湖からの清い水が流れている。

そしてここ、清水の陣地はかなり広い。

この中にはたくさんの神様達が住んでいる。

もちろん、さっき通った3年坂からだ。

ここには様々な形の神様が同居している。

混沌だ。

このような場所には強い神様が必要だ。」

俺様はチラリとリキを見た。

「リキみたいに力が強いってことか?」

「そうだな。腕力ももちろん必要だが。

多様な神様をまとめるためには、

形のあるものより形のないものがおそろしい。」

「マサル。言い方がコワいぞ。」フウマが変わって話す。

「要するに、すべてを超越する。水だ。

水は力もある。形も変わる。目で見えるし。

気化すれば目に見えなくなる。

透明な神様にもなれる。水だ。

この清水の陣地を治めるには水の神様が一番だ。」

俺様は分かった。はじめは水の形の神様の

清水様と会ったとき本当は少しだけコワかった。

でも清水様はとてもやさしく。優しい口調で俺様と話してくださった。

たぶん、本当に他のどの神様より強いのだと思った。

が「えっ?リキ、力比べ出るの?今から?」

「うん。出るよ。全国のチカラ自慢の神様達が出るんだぞ。一番になりたい。

人間界の設定では僕は柔道部なんだ。

強いぞ。」

「じゃあ、行ってくる。」とリキが会場へ飛んだ。

僕らは後を追いかける。


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