第10話 清水寺は神様達の社交場
知恩院の鐘様に挨拶をして俺様達は、
人間界の元の世界に戻った。
姿も元の人間の修学旅行生だ。
そして俺様達は二年坂の緩やかな坂道を多くの観光客とすれちがいながら歩いていた。
俺様は「なあ、清水様は都でも有名だ。
もちろん人間の観光客も修学旅行生も大勢来る。
なぜそんなに有名なんだ?
清水の舞台と言うぐらいだから、
清水寺の場所が高いところにあって目立つからなのか?」
フウマが「そうだな。清水様は華やかな感じがするな。もちろん高貴な神様だが。
だが・・・」
フウマの言葉をさえぎり、
リキが「それはデパート。」言いかけたところで、
先頭のマサルが振り返る。
「話たいが、もうすぐ清水様の陣地に入る。
キリ、静かに。」
「えっ?」
フウマが「マサル。今日は何かあるのか?
やたら、神様達が集まっているな。」
リキも「そうだな。」
マサルが「キリ、事情は後で説明しよう。
もうすぐ3年坂に入る。ここに関所がある。
僕らの身分チエックだ。
キリは何も言葉を発するな。
ただ僕らと同じく頭を縦に2回動かせばいい。それに今日は厄介な奴らもたくさん来ているからな。絡まれるな。」
そういってマサルはフウマとリキに目配りをした。
俺様はフウマとリキに挟まれて歩いだした。
「入るぞ。」マサルの声。3年坂に境界線。
人間界と遮断された。
目の前の清水様の朱色の門が見える。
両サイドの狛犬様。
「次。前へ。」
門番の声。ここが関所か。
俺様はチラリとの門番をみた。「?」
ひょうたん?
目の前の神様に門番のひょうたんが
「どちらからおいでですか?」
神様は「日向の岩の神です。」と答えた。
そのとたん。その神様は「ピューっ」と
ひょうたんの中に吸いこまれた。
獣の毛が散らばった。
フウマが「タヌキが化けて清水様の陣地に入ろうとしたようだ。
ここでは嘘をつくとあの門番のひょうたんに吸いこまれるようだ。
「次。」
俺様達の番だ。なんかドキドキするな。
「どちらからおいでですか?」
「熊野のヤタガラスと天神の金髪自動おみくじ獅子舞のキリです。
今日は修学旅行に来ました。」
ひょうたんが「そちらも、相違ないか?」
声を出さず、俺様達は黙って縦に首を2回動かした。
「入れ。」
マサルだけ声を出す。
「ありがとうございます。」
俺様達は朱色の門をくぐった。
「ふーっ」リキが両手を伸ばす。
「いつものことだが、ここの関所はやっかいだな。息が止まって苦しい。」
フウマが「それだけセキュリティが高いことはいいことだ。それにもう門の中だ。
ほら、自由だぞ。リキ。」
リキが「そうだった。ここは、全国の神様が集う、ショッピングモールだからな。」
「えっ?ショッピングモール?そんなの俺様は初めて聞いたぞ。」
マサルが「当たり前だ。ここは選ばれた神しか入れない秘密のショッピングモールだからな。」
「天神さんもここへ?」
「もちろんだ。天神さんはここで売っている紙が一番お気にいりのようだ。
天神さんは書をお書きになるのがお好きだからな。」
フウマも「学問の神様ですからね。」
「俺様、天神さんに紙を買いたい。」
リキが「それはいい修学旅行土産になると思うぞ。
それにまだまだ他にも見るところはたくさんあるぞ。」
マサルが「その前にキリは、はじめての清水様だ。まずはご挨拶に行くぞ。」
「はい。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます