第6話 人間界との境界線
俗世間の華やかな祇園に来た。
「人間のにおいがプンプンする。」
リキが人間じゃないコメントをする。
俺様は改めて3人を見た。
3人とも見た目はただの高校生だ。
天神さんで会ったときにはただの人間の高校生にしか見えなかったが。
まあ、いいや。人間じゃないくても妖怪でもたとえ鳥でも。
マサルが「キリ、何か言ったか?」
「いや、別に。
俺様はパン屋で人間に変身してから
このまま金髪イケメンの?姿で
人間界の修学旅行楽しむことにした。
せっかく天神さんが与えてくれた時間だ。
思いっきり楽しみたい。」
「それがいい。」マサル。
「僕もそれがいいと思いますよ。」フウマ。
「バーン」と俺様の背中を叩いいて
リキが「行くぞ。おみくじ自動獅子舞キリ。」
「こら、リキ。フルネームで俺様を呼ぶな。
人間の姿の時はキリと呼んでくれ。」
「わかったぞ。キリ。さあ、行こう。
目の前の八坂神社の青龍が俺たちを待っている。」
みんな俺様の心が読めるのか?
まあいい、少しコワいが八坂神社へ行こう。
三叉路、突きあたりの正面に着いた。
階段を登る。正門前で4人立ち止まる。
他の人間達は平気で龍の口の中に入っていってる。
「人間達には見えないのか?
あんなに大きな龍が口をあけているのに。」
マサルが「そうだ。人間には見えない。
ここから先は青龍の陣地だ。
心しろ。キリ。」
「はい。」マサルの口調に連られてつい、真面目に返事をしてしまった。
フウマが「キリ、大丈夫だよ。」
リキも「行くぞキリ。」と俺様の背中を押す。
正門、一歩足を踏み入れた。景色がスーッと変わった。
桜の花びらが風に舞う。この時期に桜か。
お囃子の心地よい太鼓の音。神楽の舞。
そして清らかの水の音が聞こえる。
「ここは?」
マサルが「ここは青龍のお腹の中だよ。」
「えっ?えーっ!龍のお腹の中。」
俺様は目を凝らしてまわりの景色を見た。
神社で間違いない。本殿も神楽もある。
そして人間?ではないお面をかぶった人らしき人達が境内をゆっくりと楽しいそうに歩いている。
俺様は振り返りさっきくぐった門をみた。
門の境界線を境に外の世界では、
さっきの三叉路、信号機の青。車やバスが行きかっている。
また振り返り境内の中。明らかに時空が違う。
マサルが「キリ、コワくなかっただろう。」
「たしかに。」
リキが「キリ、しかし悪い奴が
この青龍の境界線に入ろうとすると
ほら、今だ。キリ門を見てて。」
「がぶっ」人間らしき人?が龍にかまれる。「ギャー。」そして消えた。
「ほらね。あーやって、悪い奴は青龍が食べてくれる。中には入れない。」
「なんだ、それ。コワ。もしかして俺様が悪い奴だったら食べられたのか。」
今度は涼しい顔してマサルが「そうだ。」
その言葉の瞬間。3人の姿が「バッ」とカラスに。
「これが僕達の本来の姿だよ。キリ。ここでは本来の姿に自然となるんだ。」
「3人はカラスだったのか。」
キリが「カラスはカラスでもやたがらすだ。」
フウマが「これでも太陽の霊力を司どるカラスさ。」
マサルが「熊野のお山から京へ修学旅行に来たんだ。」
「マサル達は本当に修学旅行だったんだな。」
「そうだ。それに錦の天神さんとも
ここ八坂神社の青龍さんとも知り合いさ。
キリも天神さんのおみくじ自動獅子舞の仕事、なかなか休めないだろう。
僕達も神様の仕事があるから、なかなか京まで足を運べない。
だから京に来たときはみんなに会いたくて忙しく挨拶まわりをしている。
錦の天神さんもそうさ。
その前にキリ、「ポン」ほら、見てごらん
キリも本来の姿。獅子舞に変身しただろう。
ここはそういうところさ。
その時だった声が。「熊野の3羽ガラス。
久しいな。」
「青龍、元気だったか?」
「もちろん、俺様はいつも通り元気だ。
今日は新参者がいるな。」
マサルが「錦の天神さんところの獅子舞のキリだ。」
「天神さんところの。そういえば近いがなかなか天神とも会っていないな。天神は元気か?」
「はい。天神さんは元気です。」
「それはよかった。よろしく伝えてくれ。
天神は物知りで話が面白い。会いたいな。」
お囃子の音が近づいて来た。
青龍が「もうすぐ神楽がはじまるぞ。
今日は楽しんで行け。」
「ありがとう。青龍。」
「あー、かまわぬ。今度俺様も那智の滝のぼりでも行くかな。」
「ぜひ。待ってますよ青龍。」
そして僕らは神楽堂に向かった。
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