このお話は王国のとある女将軍を中心に、王宮内の政治・宗教・過去の戦争の因縁が戯曲風に荘厳に描かれます。「王国の雌獅子」、そしてその守護の「飼い犬」の関係から、戦史・宗教・地底世界が幾重に語られます。彼の努力、超人的な彼女、現在の関係性がじわりとリアルに描かれます。物乞いの少年が女騎士に拾われ、母を失いながらも都へ連れて行かれる少年のストーリーからは、貧困と異種族差別を真正面から描きつつ、彼の特殊な体が、のちの大戦への伏線となりそうです。そして…彼女もまた痛みを知る人間なのです。陵辱から一騎打ち、それは胸を抉る残酷さ、そしてそれを超えて自らを鍛えた彼女の芯が鮮やかに浮かび上がります。また「水瓶」「薬汁」「禁書」などのモチーフを通じて、物語が動き出すながれは秀逸です。また、この物語は歌曲がすばらしい味を生み出しています。みなさまも、この荘厳な物語をぜひ。
女の情念と詩情を書かせたらこの世に右に出る者なしとの評判高い暁ミラが遂にベールを脱ぎ捨てた!!
要約不可の名作誕生である。その心は、1文字も無駄はないから、要約することが出来ないのである。
しかも、本編を読んでいくと、オペラから着想を得た劇的ドラマチックな展開あり、本人が得意とするドイツ文学への深い造詣から、時に詩情豊かなドイツの詩も本編に織り交ぜながら色彩豊かな物語を紡いでいく。織り上げられた物語は巨大な美しい芸術的タペストリーのようである。しかも、オトナの男女のこれまた美しい、それでいて、あくまで美しい官能的描写まであり、まるでこの作品を生み出した作家 暁ミラの初めてとなる完結作の誕生は、例えて言うのなら文学界における「ヴィーナスの誕生」と言う他ない。処女作にして、この長編巨編を書き上げる彼女の今後の筆致力にも大注目必須である。
そして、物語の最後、あなたの涙腺のダムは決壊する。
ラストはその洪水を堰き止める大型タオルを片手に持ちながら読むことを強くオススメする!
この物語、始まりは霧のクレールラント山。
ひんやりした朝の空気の中、ふとしたきっかけで交差する運命を思わせる雰囲気が良いです!
そこから舞台は華やかな舞台へ移行し、とにかく登場人物が生き生きしていて、一つ一つの場面がすごく丁寧。
どのキャラクターも秘密を抱えつつ、会話やちょっとした仕草の中に、それぞれの想いや背景がちらっと顔をのぞかせるのが上手いです。
山の静けさも王宮、街のの喧噪も、読みごたえがありますねー!
文章の美しさも抜群!台詞のテンポも軽やかで、詩や歌が自然に入り込んでくるところも、物語に独特のリズムが感じられて凄く好きです。
読み進めていると、難しい言葉や歴史の重みがありつつも、不思議と身構えず、するっと世界に入っていけるんですよね。情景もキャラの動きも、本当に“見ているみたい”に伝わってきて、気が付くと物語の中を散歩している気分になってしまいますね!
物語に溶け込みたい方にお勧めです。