第5話 アタシは和田佳織。ジャーナリストだ



 アタシは和田佳織。ジャーナリストだ。

 

 ここ最近、この地区の交番の巡査長が色々とやらかしていると聞いてスクープを狙っている。


 私ももう30歳。そろそろ出世したい。

 そのためには面白い記事を書いて上を認めさせないと。


 ターゲットの巡査長は遠藤という29歳の男。

 行き過ぎた正義の名の元に、悪人には暴力も辞さないかなりの問題児だ。


 何度も処分を受けているようだが、未だに警察官を続けている。


 彼は必ずまたやらかす。

 そこを写真に収めるんだ。


 今日も仮眠の時間帯に交番の二階から外に出ていた。

 絶対に何かしでかすに違いない。


 そう思って後をつけてきたら、すごい場面に出くわした。


 豪邸の屋根の上で拳銃を構える遠藤巡査長。


 その先にはサンタクロースの格好をした人物が2人、覆面を被ったいかにも強盗といった格好の男が1人。

 3人とも手を上げている。


 不思議なことに皆一様に“静かにするように”という人差し指を口に当てたジェスチャーをしている。


 彼らの間にある窓のカーテンは空いているけど……


 !!


 中に薄っすらと灯りがついてる…!

 きっと中に人がいるのね……!


 けど通報して警察がくると逆に興奮させちゃうかも…

 それにこの劇的に絵になる状況をカメラに収めずにはいられない!!

 

 フラッシュが出ないようにしてっと……

 もう少し近づいた方がよさそうね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る