第2話 召喚
まぶしい──。
白い光に包まれた次の瞬間…
紬の足は、なにもない石の床を踏みしめていた。
空気が違う。
空の色も違う。
鼻をくすぐる香りも、見知らぬものだった。
(ここ……どこ……?)
反射的に声を出そうとして、紬は驚いた。
喉が焼けつくように痛むのに、声が出ない。
「っ……」
叫びたくても、声は空気に溶けて消えるだけ。
壇上の上、召喚陣の中央に現れた紬を
周囲の者たちは驚きと期待を込めて見つめていた。
「これが……異界の癒し手……」
「やはり、髪も瞳も珍しい色……間違いない」
──だけど。
「……何も言わぬな」
「……まさか、言葉が通じないのか?」
ざわめき始める貴族たち。
その中に立つ、ひとりの青年が目を細めた。
深い藍色の軍服に身を包んだ
凛とした面持ちの青年
──第二王子、レニオス。
彼の視線だけが、紬の“苦しみに気づけそうで、まだ届かない”距離にいた。
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