第5話「年越し越冬完全達成!雑煮の餅、神か?」

12月31日。

労役場の朝は、いつも通り6時起床。

「紅白や除夜の鐘?そんなもん知るか」ってレベルで静か。


でもな、なんか空気がちょっとだけ違う。



朝メシは普通やった。

でも昼。


・白飯

・ちょっと濃いめの煮物

・謎の黒豆(2粒)


ワイ(心の声)「……これ、正月モード入っとる!!」


隣のジジイも気づいてたっぽくて、箸持ちながら一言。


ジジイ「……おせちの…雰囲気だけな」


ワイ「雰囲気だけでもありがたいんや…(震え)」



そして夜。


ちゃぶ台みたいなテーブルの上に、

餅入り雑煮(具なし)が登場。


ワイ、ガチで涙目。

たぶん鼻水で塩味足してた。うまかった。



そんで係員の兄ちゃんが、ちょっと気まずそうに言うんよ。


「皆さん…よいお年を」


全員シーンってなったけど、

ワイだけ心の中で**「ありがとう…人間のぬくもりや…」**って叫んでた。



その夜、布団の中。

テレビもラジオもなくて、外の花火も聞こえん。

でもな、ワイには“毛布”と“米食った腹”がある。


「これでええねん…これが“生き延びる”ってやつや」



気づけば2026年。

カウントダウンもないまま、ぬるっと年が明けた。


でもその“ぬるさ”こそ、ワイにはちょうどよかった。

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