第十話「綺麗なおじさん」

ある日、カフェで隣に座った年下の男性に、ふとこう言われた。


「声、綺麗ですね。話し方とか、所作も。」


私は驚きながらも、少し照れて笑った。


「ありがとう。昔、そう言ってくれた人がいたんだ。」


それ以上は言わなかったけれど、心の中ではあの人の笑顔が浮かんでいた。


こうして“綺麗”は受け継がれていく。


目に見えない、けれどたしかに残るかたちで。

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