第九話「椅子のない部屋」

大学生になって久々に帰省した私は、ある日ふと思い立っておじさんの家を訪ねた。


だが、その家にはもう誰も住んでいなかった。

郵便受けには空き家の管理札が貼られ、庭の椅子もなくなっていた。


私は門の前に立ち尽くしたまま、あの人がいないことを、ようやく受け入れた。


でも不思議と、喪失ではなかった。

むしろ、風が残していったような静けさが、私の中に染み込んでいくのを感じた。

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