第七話「鏡の中のピアニスト」

ピアノの発表会。私は緊張しながらも、なんとか最後まで演奏を終えた。


控室の鏡に映った自分の姿を見て、ふと手の置き方、背中の角度が、あの人によく似ていることに気づいた。


幼い頃、何度もおじさんの演奏する姿を盗み見ていた記憶が、ぶわっと胸に広がった。


「真似た」というより、「移った」のだ。


たとえ意識していなくても、誰かが与えてくれたものは、こうして身体の中に根づいていくのだと知った。

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