主人公の紫苑と真帆はお互い足りないものをもつバディ。
もはや地上に敵なしと思われるほどの戦闘力を持つ紫苑は真帆との出会いにより、唯一自分を傷つけられる「怪異」と遭遇。
今まで誰も傷つけてきたことがないのにと暴力に対して高揚感を露わにする紫苑。
そして見た目手折れそうなほど細く弱い真帆にはとんでもない秘密が・・・!
こちらの作品は描写力が目で見えるほど圧巻です。作者様の膨大な知識と語彙を読者のためにわかりやすく咀嚼してくれた文章となっております。
余計な肉付けは一切ないのに、バトルと会話、日常からのバトル、この入りと出る間の取り方とキャラの呼吸。
豊富な例えと目で見える描写力。すべてがアニメや漫画のように小説でありながら目でみえて感じることができる作品です。
暴力と残酷描写が多いのはホラーとジャンルされている通り、これがまたリアル。
「怪異」と呼ばれるこの世のものとは思えない存在に対して立ち向かう二人の女性。
そのおどろおどろしい描写がこれでもかというほど見えてくるが、余計な肉付けがない分、それが気持ち悪い感じはなく、するっと染みてくる。
そして物語が進むにつれて”祓い屋”の存在と、怪異の放つ呪毒の恐ろしい幻覚。
ルカさんのシーンはあまりにも切なくてちょっとこれどうなるんだと非常にハラハラしました。読んでいる側の目玉が飛び出そうです。(この結末はぜひ本編にて!!)
風景や描写力は本当に筆力が高いのですべて映像でみえます。
ただの凹凸バディではない彼女たちが今後どうなっていくのか。怪異とは何か。
ヒリヒリした怪異バトルと二人の関係性をこれからも追いたい作品です。
暴力と怪異が日常の裏側に沈んでいる2020年の日本を、生々しく描いた作品です。
紫苑の圧倒的なフィジカルと、真帆の「喰らう」異能。
この二つが噛み合った瞬間から、物語はただのバトルものを超えて、互いの欠落を埋め合うロードムービーのような深みを帯びていきます。
文章は硬質で映像的。
退屈を持て余すほど強い紫苑と、記憶の欠片を求めて怪異を追う真帆。
まったく違う方向を向いていた二人が、ひょんな出会いから同じ道を歩き始める姿がとても魅力的で、読み始めた瞬間から一気に引き込まれます。
暴力とグロの匙加減が絶妙で、『呪術廻戦』や『チェンソーマン』的なサブカル感が好きな人には確実に刺さるし、描写のリアリティと知性があるので、大人の読者も楽しめます。
それにしても、治安の悪い街の描写が妙にリアルで、「作者さん、別冊宝島でも参考にしてる!?」と思ってしまうほど、裏社会の存在が濃いです(笑)
そして何よりです。紫苑と真帆の関係性が本当にいい!!
最初は鬱陶しいと思っていた相手が、旅を重ねるうちに「不可欠」な存在へ変わっていく。
友情とも恋愛とも違う、名付けようのない情が静かに育っていく感じがたまらなくて、気づけばこちらまで百合に目覚めそうになります(*´ω`)
祓い屋をはじめとする別勢力のキャラクターたちも、それぞれに背景や葛藤があって、物語にしっかり奥行きを与えています。
怪異の成り立ち、1995年から続く因縁、真帆の失われた記憶――。
点と点が繋がるたびに、世界が広がっていくのが心地よいです。
アクション、関係性、世界観。
その三つが見事に噛み合った、渾身の現代怪異譚の幕開けです。
読んだ瞬間から、きっと、あなたも虜になります。
まず驚いたのは、宗教、歴史、民俗学、映画知識……などなど、作者様の豊富な知識と経験に裏打ちされた完成度の高い世界観です。
人生の中で培った膨大なインプットの量を、独創性と説得力を併せ持つ素晴らしい作品に昇華されているのではないかと感じました。
文章力も素晴らしく、大都会の喧騒や、打って変わって田舎の風景、また、敵として現れる怪異のおどろおどろしさ、すぐ情景が浮かぶようでした。
「読書すれば多少は身につく。あと分かんねえことがあったら辞書を引け。自分で調べる癖つけたほうがいい」
こちらは主人公、紫苑の作中のセリフです。
彼女はフィジカルお化けなだけじゃない。読書が趣味で、知識豊富なのです。これは作者様の創作スタンスでもあるのではないでしょうか。
そして、紫苑と真帆だけではなく、一人一人のキャラクターに葛藤があり、魅力があります。私は霧子さんが好きです。冷静な物腰の中に、したたかさも、愛情も、負の感情もすべて内包した、多面性のある人間臭さがたまりません。
怪異の描写だけでなく、人間たちの醜さ、愚かさ、悲しみなど、様々な感情を見る目にも長けている様子で、時に「人間ドラマなのではないか……?」と感動するようなエピソードもありました。
そして、アクションの描写、素晴らしいです。敵の怪異たちのビジュアルの不気味さ、しかしそれらを最強のフィジカルで倒していく紫苑の爽快感ある戦闘力とのバランスが絶妙です。
しかし彼女は最強なだけではない。相棒である真帆との関わりの中で確かな変化を見せていきます。二人が絆を深めていく過程も、見どころの一つです。
素晴らしい小説に出会ってしまいました。
今後の展開も楽しみにしています。
怪異がいた。
人を殺していた。食らっていた。
西城紫苑という女性がいた。
暴力を行使していた。
闘争を求めていた。
彼女は怪異に遭い。
物理的な運動エネルギーで
怪異を打倒した。
彼女の行動理由は、同等の戦闘力を有する存在と戦うこと。
その闘争への渇望だった。
真帆という少女がいた。
自身の過去を知らない者であった。
彼女は怪異を探知する。
そして怪異を摂食する事で自信の記憶を得る。
彼女の行動理由は、自身の記憶の獲得だった。
ふたりは出会う。
必要なものは、互いが持っていた。
〝簡単だろ。私が怪異をぶちのめして、アンタがそれを喰らえばいい〟
ガールミーツガール、ミーツ怪異。
ふたりは怪異への闘争を開始した。
その闘争は、やがて怪異への対応を担う集団阿原家の率いる〝祓い屋〟たちをも巻き込み、拡大する。
闘争の物語を読む者は、やがて違和感を覚えるだろう。
なぜこの物語は2020年が舞台なのか
なぜ事件の発端は1995年なのか。
そして気づくだろう。
本作はただのハックアンドスラッシュではないことに。
怪異の成り立ちとふたりの素性。
真帆と紫苑の心の成長をも物語は描き出す。
運命が導くのはふたりの願望の成就か破滅か。それとも────
彼女たちの怪異との闘争の行方は、まだ誰も知らない。
嘗て、京浜工業地帯と呼ばれた海沿の町。
今や再開発の煌びやかな商業施設が
建ち並ぶ。その、路地裏の半ば空き地と
化した自動車解体工場で。
恐ろしく強い少女が暴れ回る。
暴力と死と生をごった煮にした様な世界の
中では、唯一の相棒は自らのフィジカル
ギフテッドだけだった。
一方で
怯え逃げ惑う、記憶を無くした少女が
荒ぶれ果てた路地へと迷い込む。
唯一の道連れである不安を抱き締めながら
無くした過去に怯えながらも、同時に
それを強く望む。
この二人の少女が、出逢うべくして
相見えた時。
運命と物語とが大きく動き始める。
単なる異能女子二人のファンタジーの枠に
到底、収まらない程の熱量とアクション。
それに相反する様な怪異の冷たい闇と。
歪な関係が最高のバランスを齎すこの作品
まさに、ノンストップ・バトル・ホラーの
真骨頂と言えるだろう。
拳で車をへこませ、銃弾すら効かない。
川崎の裏社会で『喧嘩屋』と恐れられる少女・西城紫苑は、今日も退屈に倦んでいた。
彼女の飢えは、食欲ではない。
「壊せるほど強い敵」と「自分を傷つけてくれる何か」。
それこそが、彼女を生かす『理由』だった。
そんな紫苑の前に現れたのは、傷だらけで逃げ惑う謎の少女・真帆。
だが彼女には、腹に『口』があった。
そしてその口で、怪異を『食べた』。
奇妙な出会いの果てに始まる、最凶の共闘関係。
紫苑は強敵を探すために。真帆は記憶を取り戻すために。
互いの喪失を補うように、ふたりは東京の深層へと足を踏み出す。
人間ではない『何か』が蠢く都市。
異形に傷つけられ、血を流しながらも。
紫苑は、久しぶりに「笑った」。
これは、拳と牙が出会った夜から始まる、
静かな終末のバディアクション物語。
川崎港のはずれ、潮のにおいが染み込んだ自動車解体場で、1人の女が男たちの暴力を解体していた。
彼女の名は、西城紫苑。
鉄パイプで殴られようが、ナイフで刺されようが、銃弾を撃ち込まれようが、彼女は怪我を負うことすらない。
武器はことごとくぶち壊れ、車は故障するからだ。
「では、愉しめるだろうか? ……否、むなしさだけが残る」
そんな紫苑が出会ったのは、腹に「口」をもった少女・真帆だった。
怪異を食べるたびに、失われた記憶が蘇るらしい。
「なあ、真帆。アンタ記憶を戻したいか?」
「そりゃあ、戻したいけど……」
「簡単だろ。私が怪異をぶちのめして、アンタがそれを喰らえばいい」
こうして紫苑と真帆はバディとなり、魑魅魍魎な世界で生きる意味を探すことになる。
邂逅は運命の偶然か、それとも怪異に導かれた必然か?
少なくとも、渋谷までは退屈しなさそうだ――。
アスファルトをめくり上げ、電柱を蹴り飛ばし、道路標識をブン回してビルの6階まで跳躍する……そんなフィジカル最強の女「西城紫苑」。
尽きない闘争心から餓狼が如く闘いを求め続ける、そんな紫苑と出逢った可憐な記憶喪失の少女「真帆」。
真帆は怪異を「食べる」事で記憶を取り戻すことが出来るのだという。
どこまでも相反してて正反対、でもその道は交わってしまったから、2人は共に歩んでゆく。
ぶっきらぼうで打算的、自己ルールがハッキリしてる紫苑が、天真爛漫で人懐っこい真帆に振り回されたり振り回したりしながら、次第に大きくなってゆく物語にどう立ち向かうのか!
ホラーに造詣の深い著者だからこそ出来る背筋に氷が這うような演出や、しっかり容赦のない爽快なバトル描写とクールな文体が読み応えバッチリな作品です!