第11話 本音で語る友人関係
「フィリップのご学友とは知り合いなの? さっき、名前教えてくれたけど」
フィリップ殿下がチラと見たのはジョージだった。護衛騎士が、こちらを物欲しそうにチラチラ見ているジョージを完全にブロックしていた。
「あの、その、あの方は婚約者なんです」
双子の王子と王女は驚いたらしかった。
「いや、それは失礼した」
あわてた王子殿下は言い出した。
「気にしないでほしい。別に悪気があるわけじゃないんだから」
「お気になさらないでください」
ハンナは急いで言った。
「実は親同士が決めただけなので、ほとんど会ったこともありません。それに先日、王子殿下のご学友に決まったので当分接触しないでくれと言われました。とても忙しいそうです」
アレクサンドラ殿下が反応した。
「えええ? それは気の毒だわ! フィリップ! すぐにご学友枠から外してあげて! なりたい人がいくらでもいるでしょう?」
「いい考えだ。彼にはうんざりだから、ご学友を辞めてもらういい理由だ」
「ダメよ。ハンナの婚約者の悪口言っちゃ」
「外さないでください。私のせいでご学友から外れた、なんてことになったら、叱られます」
ハンナは言った。
「むしろ、私の婚約者を辞めてもらった方が嬉しいです」
「「えっ?」」
二人は目をむいた。
「嫌いなの?」
「まだ、知り合いにもなってないので、好き嫌いも決められないくらいです」
ハンナは逃げた。正直に言うと嫌い。挨拶に来ないと文句を言われた。ブスとか大人しいだけとか。
思い出すと腹が立つ。
「でも、私の容姿が地味で性格が引っ込み思案過ぎると、お友達に向かって言ってました。侯爵家には相応しくないと」
「「へえ……」」
二人はどう言うわけか感心したようにハンナの顔を見た。
「うん。そう言うのは流行りの小説で読んだことはあるけど、現実にそんな失礼なことを言う人間がいるだなんて思わなかったよ」
ハンナは薄笑いを浮かべてしまった。ふつうそう思うよね。
「あの人、言いかねないわよね。失礼だわ」
アレクサンドラ殿下はきゃしゃで儚げな容姿の割には、しっかりしている。
「私、そういう人、大嫌い」
ハンナは思わず微笑んだ。
「そうはいってもジョージ様はフィリップ殿下のご学友なので、アレクサンドラ殿下と別に接触があるわけではないと思います。私の婚約も王家のようなことではございませんので、割合簡単に解除できますから」
本当に白紙撤回できるかしら?
そうだわ、意外とこの二人の殿下は利用できるかもしれなかった。
殿下二人に気に入られなかったと言う理由は使えるかもしれないわ。
ハンナは頭を巡らせた。
一方で、殿下たちは食堂に詰めかけている物見高い生徒たちを眺めた。
「王宮ほどではないにしても、人数が多い分、面倒くさいかもしれないな」
フィリップ殿下は、憂鬱そうに独り言を言った。
「あ、そうだわ。フィリップ、これ」
突然、アレクサンドラ殿下がフィリップ殿下にメモを渡した。ハンナは驚いた。それはさっきトンプソン先生の授業中にアレクサンドラ殿下がせっせと書いていた生徒い付いての質問状だった。
「女子生徒はこれでかなり網羅できたと思うの。あなたを狙う勇敢な女性が出現したら、うまく使って撃退してちょうだい」
ハンナは内心驚愕した。
フィリップ殿下は、興味ありげに読んでいる。
「殿下! そのような気楽なメモを」
フィリップ殿下はニヤリと笑った。
長い髪のおかげで目元は見えなかったが、唇が弓形にゆがめられたのがわかった。
「おもしろいね、これ」
「大急ぎで書いたので……」
色々とまずいことを書いているかも知れない。
しかし、殿下はハンナを押し留めた。
「大丈夫。誰にも中身を喋ったりしないよ」
それから明らかに愉快そうに笑った。
「地味で引っ込み思案だって? これを読んで、そんなことを言う人はいないと思うね! ものすごく面白いよ。参考になる」
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