第12話 伝手を求めて

そんなこんなでハンナは、名実共に殿下のご学友に成り上がった。

打ち解けて話してみれば、悪い人たちではなかった。

アレクサンドラ殿下だけならまだしも、なぜか、事実上、フィリップ殿下のご学友にもなってしまった。ジョージ、どうなった。


ハンナが歩くと、嫉妬の視線が刺さる。怖い。


上級生にとっても、殿下方は気になる存在だ。


ハンナとリリアンとマチルダは、授業が終わるとコソコソ相談した。


「仕方ないわよ。だって、特にフィリップ殿下狙いの女性たちだって多いし」


ハンナはうなずいた。ジョージ、働けよ。何してんのよ。


「そうなのよ! もう伝手を求めてやってきたのは三人目よ。それもアレクサンドラ殿下ではなくて、フィリップ殿下との縁を求めて、紹介して欲しいと言ってきたのよ!」


「誰よ、その勇敢な女性は」


ハンナはすらすらと伯爵令嬢と侯爵令嬢お一人ずつの名前を投げた。侯爵令嬢は二学年上の方だ。


「ちょっと待って。三人にならないじゃない。もう一人はどなた?」


「スミス男爵令嬢」


リリアンとマチルダは顔をしかめた。


「はあ? 誰?」


ハンナも初対面だったので何とも言えなかった。


「男爵家のくせに?」


「紹介ってなんの紹介? 紹介してもらってどうするつもりなのかしら?」


スミス男爵令嬢は、美人ではある。

華やかに目立つブロンドで、ボディラインはみごとだ。

一見、明るく、誰とでも気楽に話ができると言われている。


「いやあ、怖いわ。だって、彼女、女子生徒の友達いないはずよ」


「髪、染めてるって知ってる?」


ハンナとマチルダはうなずいた。


「あれだけあからさまだとね。あと根本が黒よね」


「それから、男子の間でウワサのボディだって」


彼女たちはため息をついた。


「ああゆう格好をしているから、そういうボディラインだって、男子に知られるわけで」


「まさかと思うけど、本気でフィリップ殿下狙いなのかしら? 男爵家の令嬢がフィリップ殿下の正妻になれるとでも?」


「第二夫人もないわよ。だってどうせフィリップ殿下はどこかの公爵家の名前をもらうでしょ? 愛人は作りたい放題かも知れないけど、第二夫人なんて公式なものはないわよ」


「第二夫人は公式な存在なの?」


「まあ、それも違うでしょうね」


マチルダは渋々認めた。


「それで、その人たちはどうしたのよ?」


ハンナは令嬢らしくなく肩をすくめた。


「ジョージ様のところへ行けと言いましたわ。だって、フィリップ殿下のご学友はジョージ様ですもの」


マチルダとリリアンは、ハンナを見つめた。これが言える人はそうそういない。


「ハンナ。すごいわね」


ハンナはきょとんとしていたが、すぐに苦笑いした。


「だって、一緒なのよ。結局、そうなるの」


学年五位は言うことが違う。

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