僕が好きなのはあの子の✕
wkwk-0057
最期
艶のある黒髪が風で靡く。それが僕の視界に移りシャンプーの甘い匂いが鼻に着く。今日も彼女は美しい。
そして何より――――――――
兎にも角にも僕は彼女が……うん。彼女が好きだ。
スポーツをするのが好きな彼女が好きだ。
良く転ぶ彼女が好きだ。
そして、今日は体育がある、サッカーをするらしい。彼女に少し期待してしまう。
僕はいつものように見学。彼女を常に目で追いかけその時を待つ。
―――――――――――――――――
彼女がディフェンダーに向かってドリブルを仕掛けた時、相手と彼女の脚が絡まり転んでしまった。膝から❌が流れ出す。彼女は座り込み、先生に話す。
「保健室に行ってもいいですか?」
と。やっとだ。やっと。
―――――――――――――――――
彼女が行った後、僕は抜け出した。
背もたれのない円盤の椅子に座り自分で消毒をしようとしていたところだった。
僕は唾を飲み込み高鳴る心臓を抑え話しかける。
「―――――?」
「え?……キモイ!!」
「――――……」
―――――――――――――――――
あの後彼女は口を聞かなかった。
だけど、もう我慢できない。
彼女の❌を……―――――――
コンパスを取り出し、下校中の彼女を後ろから突き刺す。
紅く、鮮やかな❌が流れ出る。
彼女は
「!!!助け―――」
口はタオルを巻かれ声を出せなくなった。
コンパスで体育の時怪我したところを突き刺す。
「!!!」
目尻には涙が浮かび上がる。
その涙は純粋な色で透き通っていた。
でも、しょうがない。彼女のことが好きなんだ。
首にコンパスの先を押し付け力を段々と入れて行く。頸動脈だ。
彼女の顔色が段々と青ざめて行き、絶望の色1色になった。
大粒の涙が流れ泣き出していた。
「君の、君の血が好きなんだ。だから、だからごめんね?」
そう言い力を込めようとした時、
「何してんだ!!!」
通りすがりの人が止めに入る。
「僕は、彼女のことが好きなんだ!!彼女に流れる紅い、鮮明な紅い血が流れている彼女が!僕は見たいんだ。彼女の命を!魂を!!」
押さえつけられながら彼女から視線を外さない。
最後の最後まで、自分が傷付けた傷を見て、脳裏に記憶させたのだった。
―――――――――――――――――
彼女はあの後、不登校になり外にでようとすると吐いてしまうようになってしまった。
「僕は、彼女の血が好きなんです」
〜fin〜
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