資料NO.2:遥か昔の神話について
資料NO.2:遥か昔の神話について
古びた扉を開けた先。そこは不思議な場所だ。
うっすらと埃の匂いがする書斎。
不思議と、不快感はない。
人の痕跡を感じるからだろう。この部屋に染みついた古い使用感が、この書斎の主が確かに存在したことを感じさせてくれる。
至る所に古い文献やメモ用紙が山積みになっている。足の踏み場もないほどに。
その部屋の奥にある机の上には几帳面な文字の並んだ用紙が散らばっている。とても古く、所々掠れて読めないところがある。
気になったので少し手に取ってみることにした。
これは、旧世界の滅亡とアンダーの始まりを記した、歴史と神話の間の真実
メモやレポートというよりかは小説のように見える。
不意に、後ろからドアの開く音が聞こえた。
この書斎に誰か入ってきたようだ。
こんなところで何してるのかと思えば……
どうしてこんなもの読んでいるんだい?
█████████……
……なんか浅いね。
でも、それも良い。そういうのも大切だ。
ところでさ。ついでだし読み終わったら机の上を整理しておいてくれるかい?
███。
うん。お願いね。
……じゃ、ほどほどにするんだよ。
扉の閉じ、足音が遠ざかる。
そして再び静寂が訪れる……
██████████████
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█████
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███
██
█
旧世界の歴史は古い。
幾度にわたり文明が崩壊していた。
その度に新たな文明が築かれてきた。
旧世界最後の文明の始まりは、世界にわずかな綻びが生まれた瞬間から始まる。
綻びが生まれたことにより、外界との境界に不可解な歪みが生じた。
外界とはこの世界を取り囲む巨大な空間だ。
外界は理を超越したエネルギーに満ちている。そういう風に創られている。
そして外界との境界に発生したその歪みは、誰も気づかないほどの些細な変化でありながら、かつてない大きな変化を人類に及ぼしていた。
未知のエネルギーが少しずつ流れ込んでいたのである。
魔力。そのエネルギーは魔力と呼ばれるようになった。
人類は世代を重ねるごとに魔力に適応していった。何世代もすると人類は魔力を完全に使いこなせるようになっていった。魔力の使用を形式化して魔法として使いこなした。
魔法の発展は人類の発展であると言っても過言ではない。
ある時から、人々の間で魔法研究が盛んになり始める。
そして魔法の可能性に気がついたある王国は、魔法を用いて国を大きく発展させた。強大な力を持った王国は、瞬く間に全世界を支配した。
そこからさらに時が過ぎ、ある農村に大賢人███が生まれた。
彼は、若くして魔法を学び、次々に新たな魔法を編み出した。
果てには外界との境界を開く魔法を発見してしまった。これまで観測に成功した者は誰一人としていなかった。
彼はそれを世に公表しようとしなかったが、人づてに噂が広まり王国にまで届いてしまった。
王国にとって外界との境界を開く魔法は喉から手が出るほど欲しいものだった。それを占領されるということは王国にとって大きな脅威でしかなかった。
王国は彼の知識を得るために情報の提供を求めたが彼は断った。
彼の存在を脅威に思った王国は、ある魔力兵器を使い彼ごと農村を焼き払った。
幸いにも焼き払われた農村の中で彼だけは生き残った。咄嗟に使った魔法が彼の身を守ったのだ。
しかし彼は何一つ守ることができなかった。
妻も、
家も、
故郷も、
全てを失った悲しみに暮れた彼は、王国に復讐する決意をした。
そこで、彼は世界に人工的な歪みを生み出し外界に存在する魔力を吸収しようとした。
外界への歪みを作り出したその時だった。
歪みから、この世界の創造者である、界王が姿を表した。
彼は界王と交戦するが敗北し、外界へと放り出されてしまった。放り出されるその刹那、彼は自身を媒介し、生き残った者たちに外界から膨大な魔力を授けた。
その後まもなく、ある魔法研究家が界王を退けた。
彼の親友でもあったその研究者は、彼の行方を探ったが結局彼は見つからなかった。
そして界王が現れたことにより膨大な魔力がこの世界にもたらされた。
しかし、この世界は膨大な魔力による負荷に耐えられず、この世界は数多の小世界へ分断されてしまった。世界が分断されても有り余った膨大な魔力は、各世界で固有の生命体へと姿を変えた。
その生命体は神獣と呼ばれ、強大な力を持ち各世界で猛威を振るった。
この世界分断を生き残った人々はすぐに文明の再興に取りかかった。
そうして新世界最初の文明が誕生した。
ここで人々はある問題にぶつかる。どの世界にも神獣が蔓延っていたのである。
残された人々は、分断された世界の内、かつての王国の中心地で、神獣の一体「カルチャー」に対して戦争を仕掛ける。
人類はかろうじて神獣に勝利した。
しかし人口はかつての四分の一にまで激減し、神々もまた多くが命を落とした。
この戦争により神獣は、人々に深い恐怖を植えつけた。
さらに時が流れ、文明の頁は完全に復興を遂げることができた。
人々は魔法を捨て、科学力を駆使して文明を発展させていった。
神獣への恐怖が根強く残る人々の間では、そのうち魔力を忌み嫌うようになった。
魔力は神獣を象徴する力として神力と呼ばれ始めた。
まだ完全に平和になった平和は文明の頁だけである。
他の頁の人々は、未だ神獣に怯えながら日々を暮らしている。
ここまでが神話体系の序章である。
メモの続きは後にしよう。
今はまだその時ではない気がする。
頁の上神話大系 Loss @loss9_9
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