第11話 ドラゴンゾンビ
改良した浮遊板をシレーヌが使い、僕はシレーヌの影響を受けない範囲で風魔法を使って空を飛んで先行していた。
街は、森の奥をさらに進めば近道になる。ただ、浮遊板は高く飛べないため、森の上を飛んでいく事が出来ない。なので、僕がぶつからない様な道を選びながら先導している。
「ギャオオォォ!」
森の奥から、魔物の咆哮が聞こえる。この声は、ドラゴンだ。まさか、主の他にもドラゴンが居たのか?
戦うのがめんどくさいので遠回りをしようとしたが、遅かったようだ。前から火球が飛んできた。
「水よ、壁となれ」
その火球を水魔法で防ぐ。そして、すぐにドラゴンの姿が見えた。しかし、どうも様子がおかしい。真っ赤なはずの体が紫色に染まり、さらに目が無い。そう言えば、唯一素材として取れたんだったか。つまり、こいつは僕が殺したドラゴンで確定だ。
「ドラゴンゾンビになったのか? まさか、早すぎる」
魔物は放置すると、魔力が残っている場合アンデッド化する可能性がある。しかし、大抵は他の魔物に食われるためアンデッド化する事はまれだ。それに、アンデッド化には体内に魔石がある事が必須なので、普通は人間が倒せばアンデッド化する事は無いだろう。魔石は売れるからな。
「くそっ、魔石を残したままにしたのが悪かったのか? だとしても、アンデッド化なんてどんなに早くても数日はかかるだろ」
「アシュレイ、ドラゴンが見えるんだけど! 逃げないと!」
僕は、ドラゴンの魔石を取り出さなかった。いや、正確には取り出せなかった。体皮が硬すぎて、僕の持っている武器では刺さらなかったのだ。かといって、火竜は火に耐性があったため、燃やしても燃えなかった。アイテムボックスにも大きすぎて入らなかった。だから、仕方なく放置したのだ。当然、他の魔物も硬くて食えなかっただろうから死体は残っていてもおかしくはない。
「逃げる必要は無い。僕は一度こいつを殺している。だから、もう一度殺してやるよ。水よ、彼の者を包み込め!」
前回は、いくつか魔法で攻撃してみたが、どれも硬い皮膚を貫くことも、焼くことも、冷やす事も出来なかった。なので、水で顔を包んで窒息死させたのだ。本来なら、素材がそのまま無傷で手に入るのだが、何分重すぎて運ぶ事も出来なかった。斬れもしないから分けて運ぶ事も出来なかったし。
「・・・効かない? ああ、そうか。ドラゴンゾンビは呼吸の必要ないんだな」
僕は、その当然のことを忘れていたようだ。つまり、もう窒息死は使えない。だとしたら、他の魔法も効かないんじゃないか?
そしてこいつは、どうやら僕を狙っているらしい。目玉を盗った恨みか?
「・・・目玉を返すから、見逃してくれないだろうか? まあ、無理だろうがな」
僕は、思ったよりもピンチなんじゃないか。疲れを知らないゾンビは、僕の事を永久に追いかけてくるだろう。つまり、ここで倒すしかない。だが、どうやって倒せばいいのだろうか?
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