第9話 直談判

校長室に向かう前嶋たちは、警戒しながらも、校長室にゆっくりゆっくりと向かって行った。


さて、校長室の主である吹田すいたはいたずらっ子だった。小さな頃には、そのせいでよく親を呼び出されていた。と言っても、乱暴をはたらくわけでもなく、扉を開けたら黒板消しが落ちてくるようなものとか、ノートをすり替えてみせたり、その程度の誰しもが通るレベルのイタズラではあるものの頻度が高い、そういったタイプだった。

さて、その元いたずらっ子の校長は興奮していた。およそ40年ぶりに、イタズラを仕掛けることができるのだ。

しかし、所詮小さな頃のイタズラのレベルである。まず、扉に黒板消しを仕掛けて、その次に、扉を開けたら箒が倒れてきたり、というようなものだった。

「たのしいな〜フンフンフン」

吹田校長の声はでかいことで有名で、この鼻歌ですらドアの外まで聞こえていた。

前嶋は正直引いていた。あの、話の長い、マイクもスピーカーもいらないイカつい校長に、こんな一面があるだなんて。

前嶋は吹き出しそうなのを堪えながら、みんなに、NERFとBB弾を構えさせた。

(さあ、直談判のお時間といきましょうか!)

心の中そう叫ぶと、さっと手を挙げて、全員を突入させた。

校長は、生徒達の動体視力を舐めていた。先に突入しようとした3人が落下物に気づいて、直前で止まったのである。そして、余裕で奥から倒れてきた箒をかわした。


口笛を吹く前嶋に、唇を噛む吹田。

ニヤリと笑う前嶋に、汗が止まらない吹田。


前嶋一行は、ズカズカと、校長室に入って行った。

校長は、汗をかきかき

「ど…どうしたのかな…み…みんなで…そうだ!みんなで遠足に行こう。」

と言うが前嶋は、淡々と

「分かってんだろ、校長」

と問い詰める。

「な…なんのことかな〜…」

「知ってんだろ?」

「こ…校則のことかい…?だ…だとしても、ここまでする必要はないんじゃないかな…アハハハ」

校長は、どうにか話題を逸らそうとしている。しかし、その声は、いつもの校長とは思えないくらいの小さな細々とした声だった。

「なあ、校長『ぼくらの七日間戦争』って小説知ってるか?」

こくりと小さく校長が頷いたのを見て、前嶋は続ける

「そうだろうな、ちょうど校長世代だもんな」

さらに前嶋は、

「今までの事情、説明してやる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る