第7話 化学VS物理

ペットボトルロケットが飛んできた音を聞いて化学室を見ると、なんと、平戸先生が縄を解いて再び動き出しているではないか。

それに気がついた前嶋は放水をやめさせて、グリーンと化学室に向かう。

職員室は水浸しで、当分先生軍も動けないだろうし、おそらくあの先生には、遠距離攻撃は効かないことが推測される。

体育倉庫から、バットとピッチングマシンをお借りして、それをバリアフリーなんとかかんとかで設置された使エレベーターに乗せて上がっていく。

化学室のある3階に着いて、ピッチングマシンをゆっくりゆっくりとエレベーターから出して、電源を入れた。

すると、それに気がついた平戸が、のっそのっそと化学室から出てきた。

前嶋たちは先生が出てくると同時に、投球を開始してこちらには近づけないようにし、向こうから別動隊を動かして、バットで殴る計画だった。

しかし、その計画に気がついた平戸が、怪しげなボタンを押すと、言う。

「いいかお前ら。今、アルミニウムを塩酸に溶かし始めた。それで何ができるかわかるか?」

前嶋が答える。

「水素だろ」

それを聞いた平戸が、

「今度はこれだ、これは何かわかるか?」

「そりゃもう」

前嶋が手を挙げ

「マッチだろ」

と答えた。

「水素の時点で嫌な予感はしてたんだよ。」

平戸の背後から迫っていた3人が、バケツを使って一斉に水をかける。

「あれー、先生。そのマッチ濡れてて使い物になりませんよね?」

「お前らなー」

平戸が言う

「あれー先生、なんでか知らないけど教室の鍵が閉まってるしぃ。なんとー僕が持っています。」

鍵をチャラチャラとさせて、平戸の背後から新島が言う。

さらに続けて、

「先生は、今前後から挟まれている上に、教室に逃げ込むことはできません。前嶋ぁ」

「スイッチをオーン」

前嶋がふざけた感じで言う。そうするとグイーンという音がして。ピッチングマシンがウィーンと音を立てて動き出した。

さっきエレベーターで設定した140kmのボールが、平戸目掛けて真っ直ぐに飛んでいく。

平戸はそれを避けることもできずに、

「デットボール」

前嶋に煽られる始末だ。

さっきの何倍もきつく縛りつけて、廊下に放置しておいた。

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