第5話 うらぎりものの大誤算

前嶋は、別に内通者がいることとなどどうでも良かった。

なぜなら、前もって各隊のリーダーには

と言って回っていたのだ。

さらに、職員室は正面から攻める気は微塵もなかった。作戦を開始するときに職員室でバリケード作りが始まるのはわかりきっていたから、窓から水を流し込む作戦だった。自分で固めたバリケードで、自滅していくのが目に浮かぶ。

前嶋が美術室に着いた頃には、グリーンが占領をして先生を柱に縛り付けていた。

「みんな!!」

前嶋が言うと

「前嶋!!それにブルー、行くぞ職員室」

「おう」


誰もいない、水も張られていない、掃除がされていない緑緑したプールのポンプから、ホースを延長して、職員室の窓に差し込んだ。先生軍は廊下側ばかり見ているから、気づいていない。

3つのホースから放水を開始した。

放水開始から1分30秒ほど経ったところで、床に水が行き渡り始めたので気がついた先生軍は窓を見るも、勢いが良すぎて、誰も近付くことはできない。

『さあどうする?』と言うような顔で、中を覗く前嶋。

先生もたじろいでいる。

前嶋たちはそれを面白そうに見ている。

ALTの先生(外国語を母語とする、外国語指導助手の先生のこと)が大声で

「WAT'S UP!?HELP ME」

と叫んでいる。

扉は、簡単には開けられないように自分たちで閉めたのだから。

かと言って、窓から出ようとしても、すでに服が濡れてりして重いし、外の方が一段高い構造になっているからどうやっても出られない。


つまり職員室の中にいた先生が降伏するのも時間の問題である。

おまけにこの作戦は校長先生の財布を痛めつけることもできるのだ。(これは、反乱を止めれなかった校長の過失とも言える。なので、民法上は校長に水道代は請求される。)

先生軍は、ほぼ詰みとなったが、大人の反撃が幕を開ける。

遠くから聞こえていたのは、警察のサイレン。

どんどん大きく聞こえるようになり、門に向かってくるのが目視できた。

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