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「楽しかったね。お正月」
うん……。
けど結局お正月らしいことはなにもやってないけどね。
だけどお正月気分は味わえた気がしないでもない。
「じゃあ、出かけようか」
魔法使いはコートを羽織り始めた。
へ? どこに?
「……フライドチキン買いに」
何だ。結局クリスマスしたいんじゃん。
「……うう、うるさいなー。クリスマスとは関係なく私はフライドチキンが食べたいの。ついでにふわふわカリカリのビスケットも食べたいの。ほら君も支度する!」
はいはい。
明らかに恥ずかしがっている魔法使いを見てにやにやしながら出かける準備をする。
さっきからずっと考えてたことがある。それは僕の今現在の「夢」についてだ。
夢、それは――。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
ずっと、これからずっとこの魔法使いの魔法にかかっていたいな、ということ。
もちろん、この魔法使い本人には言えるはずはない。
千里さんはアパートのドアを開ける。
「あ、これだけは言っておかないとね。メリークリスマス」
あ、うん。メリークリスマス。
彼女は僕の手をぎゅっと握る。やっぱりこの魔法は強力すぎてなんだかくらくらしてきそうだ。
だけど僕はこの魔法使いと旅を続けていこう。そう思った。
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