第27話 その夜、起こったコト
その1
ユウトから律也にメールが届いたのは、その2日後のことであった。
この夜、 入浴を済ませて自室に戻ると、ケータイのメール受信を告げるランプが点滅していたのだ。
≪こんばんわ。早速ですが、先日の関連で話したいので、明日の昼休み屋上でいいですか?≫
≪了解しました。明日の昼休み、屋上に行きます。雨天決行ですね?(笑)≫
≪”あの時”の雨ぐらいなら(笑)。では、明日よろしく≫
何とも端的なやり取りだったが、律也にはなんとなく予測が立っていた。
それは、きっかけ…。
彼の頭には、そんなキーワードが浮かんでいた。
***
翌日は雨ではなかった。
その代わり、えらい風が吹いていたが…。
給食を終えるとすぐ、律也は屋上へ向かった。
ユウトはすでに、屋上昇降口付近のフェンスに持たれて待っていた。
いつものさわやかな笑顔で。
やや長い髪を風にそよがせて‥。
律也にとって、いつ見てもユウトは、心をきゅんとさせる”美少年”であった…。
「早かったね」
「そっちこそ」
二人の挨拶も、彼ら特有の流れるリズム感で、短くとも実に何ともな絢を醸すものがあった。
***
「…さっそくだけど、今度の土曜日、オレと一緒にヨーコの家に行かないか?」
「えっ…?」
さすがにいきなりだったので、律也はちょっとあっけにとられた。
すると、ユウトはにっこり笑って、”補足”した。
「うん。昨日になって、川原で会ったトモダチも連れてきなよって言いだしてさ…」
「…」
ユウトは律也の反応を確かめながら、間を図って話をしているようだった。
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