第26話
その6
「おにいちゃーん!早く花火見に行こうよー!」
ここでカオリちゃんの大きな声が届いた。
「はは、カノジョを待たせちゃ悪いから、また…」
「うん、また…」
ここで律也とユウトは3人の元に戻った。
「ああ…、お二人とも、すいません。子供の相手してもらって」
「いいのよ。あなたもユウトと”大事なお話”、済ませたんでしょうし…」
ヨーコというユウトの年上の”カノジョ”が、やや薄笑い気味に意味深な言葉を律也に浴びせると、もう一人のチヅルも口元を緩ませ、じっと律也を観察するように見ていた。
その脇でユウトは軽くため息をついて、年上の女性にやれやれという目つきだった。
***
そんなオトコ連中を横目に、ヨーコはチズルと目で何かを語りあったあと、一転、ガラッと声のトーンを上げてカオリちゃんに声をかけた。
「さあ、おにいちゃん、戻ってきたよ。カオリちゃん、バイバイねー」
「バイバーイ!ヨーコおえちゃん、チズルおねえちゃん、お話してくれたありがとう!」
5人は手を振りあってここで別れた。
カオリちゃんの手を握って歩く律也の足どりは、思いのほか軽やかだった…。
この夜のカオリちゃんを除いた4人の男女は、翌週、再び顔を揃えることになる…。
そして、それは、律也の”その先”を大きく決定つけるターニングポイントの入り口でもあった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます