【直接聞けば良い】
「チャーヤー。サンジュニャーが出て行った時の様子を聞かせてくれ。」
チャーヤーは話した。
衣服を手渡し、馬に姿を変え、森の中へ消えて行った事を。
話を聞いたスーリヤだが、その理由には見当もつかなかった。
「分からぬ……サンジュニャーはなぜ……」
かぶりを振り、そして思い立った。
「分からぬなら聞くまでよ!サンジュニャーを探し出し、その胸の内を聞いてみようぞ!」
チャーヤーは前向きになったスーリヤに微笑み、サンジュニャーが見つかる事を祈って送り出した。
彼女が変身した一頭の馬。
その馬が駆けて行った森の中。
スーリヤは馬の向かった先を目指し、森の中へと入って行った。
太陽神の妻サンジュニャー。
彼女はその妻の座を捨てて、森の中で一体何をしているのだろうか……。
自然豊かな森の中。
そこに暮らす一頭の牝馬。
サンジュニャーである。
彼女はその姿のまま、宗教上の勤めに献身していた。
ここには目に痛い輝きは無い。
残して来た子供達は気になるが、チャーヤーがいれば大丈夫。
太陽もいつもと変わらず昇っては沈んでいる。
自分が居なくても、世界は変わらず動いているのだ。
それならばもう少し……。
スーリヤの輝きから解放された、この安息の日々を楽しもう。
「また違ったか……。」
牝馬を探し歩くスーリヤ。
何頭か見つけた牝馬はすべて普通の馬だった。
「どこにいるんだ……サンジュニャー……。」
探しても探しても見つからない。
もう彼女には会えないのではないか。
深い悲しみがスーリヤを襲う。
「サンジュニャー……私は……もう……」
長年共に暮らした妻を失った。
恋人とは一瞬しか触れ合えない。
何故……。
私が太陽だからか……?
太陽は……黙って天空を駆けていろと……?
「なぜだ!なぜ私から愛を奪う!私が一体何をしたと言うのだ!」
やり場のない感情を吐き出して。
かぶりを振って彼は歩き出した。
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