【供物争奪戦──何かのレース】

アスラ達が毒を撒く。

魔法の呪文を唱える。


それにより、下界の植物は傷ついた。


汚染された植物を食べるわけにはいかず、人々は食べるのをやめた。

獣も草を食べるのをやめた。


結果、飢饉ききんが人々を死に近づける。


デーヴァに捧げる植物が使い物にならず、犠牲祭を行う事もできない。


犠牲と人々の賛歌が送られないデーヴァ。

その力は弱まって行く。



「まずいですよこれは。このままではアスラに負けてしまう。」



「毒さえ何とかできれば……。」



デーヴァがアスラに対抗する。

彼らが傷つけた植物から、毒を取り除く為の犠牲祭を行った。



「よし!成功だ!」



毒が除去された植物を使い、人々はすぐに犠牲祭を執り行った。

犠牲と賛歌により、デーヴァは力を満たし、アスラと戦う。



「AとB!話が違うじゃねぇか!」



ドカドカバキバキ戦いながら、言い出しっぺの二人を責めるアスラ達。



「あいつらが上手うわてだっただけだろ!俺らのせいじゃねぇよ!つーか、やっぱ勝てねぇーーっ!」



再び敗走して行くアスラ達。

そして再びインドラの雄叫びが聞こえていた。



さて。

この勝利を祝う為、大式典が挙行される事となった。


式典には、毒が消された後で最初に育った植物が供物として捧げられる。


そこで争いが起きてしまった。



「儂が受け取って当然じゃろうが!」



「それなら三大神に権利がありますよ!」



「待って下さい!こればかりは三大神にだって譲れません!」



上も下も関係ない。

この供物を受け取った者は、豊穣の神として崇拝されるのだ。



「このままでは決着がつきませんね。という事でこうしましょうか。みんなでレースをするんです。勝った者が供物を受け取る事にしてはどうです?」



この提案は満場一致で受理された。



で、レース開始!


結果はインドラとアグニの同着で、勝者はこの二人に決定した。


実はアグニとインドラは、同じ両親を持つ兄弟でライバルだった。



二人の親はディアウスとプリティヴィー。


彼らは牡牛と牝牛の形を取り、豊穣神として崇拝されていた。



このレースの勝者となり、豊穣の源とされたインドラだが……。


実は両親から適切に与えられた役割だったのである。



こうして、インドラは豊穣の神として崇拝される事となった。

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