豊穣の神インドラ

【祈りは力となりてゆく】

相変わらず戦いを繰り返しているデーヴァアスラ魔神


結局最後には負けてしまうアスラ達。

そんな彼らが、ある日ある事に気がついた。



「なぁ……。デーヴァが強いのってさぁ……」



アスラAが呟いた。



「何だよ!くだらねぇ事言ってねぇで戦えよ!」



今は戦いの真っ最中。

ドカドカバキバキ激しい攻防戦が繰り広げられている。


アスラBに言われ、ハッとしたアスラAは戦闘に戻った。



「がーーっ!やっぱ勝てねぇーーっ!」



すたこらさっさと敗走して行くアスラ達。

見送るデーヴァ達は勝利の雄叫びを上げていた。



「はっはっはっ!このインドラがいる限り、アスラの好きにはさせんからな!」



インドラの声が、豪快な笑い声と共に響き渡っていた。


パーターラに戻ったアスラ達は、怪我の手当てをしながら敗北を悔しがっていた。



「なあなあ、話聞いてくれよ。」



再びアスラAがBに話し掛ける。



「あ?さっきのか?デーヴァが強いのがどうとか言ってたな。けどアムリタ飲んでるからだって事は分かってるし。」



「いや、それもあるんだけどな。原因は人間なんだよ。」



「人間?ああ、あいつらを護る為に力が出てるとか?」



ぶんぶん首を横に振るAさん。



「聞こえてなかったか?人間の声がさ。」



「人間の声?さあ?気づかなかったけど?」



まあ、戦闘中に聞き耳を立てる訳もなく。

ぼんやりしていたAさんが、たまたま気づいただけだったりする。



「人間がな、賛歌を送ってんだよ。あと犠牲もな。」



供物を捧げ、賛歌を唱えて神々に祈る犠牲祭。

その供物と賛歌によって神々は力を得る。



「おいおいおい、ちょっと待て。って事は、犠牲祭を潰しゃ良いって事か?そうすりゃデーヴァに勝てる──ってか?」



「多分な。」



AさんとBさんが、顔を見合わせニヤリと笑った。


話を聞いたアスラ達は計画を立てる。

デーヴァの力の源を奪えば勝てるはずだ。


ならば人間の犠牲祭を妨害してやろう──。

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