【名誉挽回編】離れない首

「さて、次は世界の守護者を創りますか。」



創造神ブラフマーが、今日も何かを創り出しています。


ぼふんっ!


ってな感じで生まれたのは、蒼い肌をした男性でした。



「貴方の名前はルドラにしましょう。」



ルドラとは、シヴァの前身とされる神様です。

つまり、シヴァが生み出されたわけですね。



「ルドラね。何か格好いい名前だな。」



大満足のシヴァさんです。



「あ。あだ名はカパーリンですよ。」



と、付け加えるブラフマー。



「カパーリン……?何だそのあだ名は。」



首を傾げるシヴァに、にっこり笑って説明します。



「ドクロを持つ者という意味です。」



眉間にシワを寄せるシヴァ。

わなわな震えています。



「それで、貴方には世界の守護者になって欲しいのですが。」



その頼み事は聞こえていなかった。



カパーリンだぁ?

ドクロだとぉ?


沸々と怒りが込み上げてきます。



「侮辱してんじゃねぇ!クソじじいがっ!」



そんなつもりは無かったのに、侮辱と受け取ったシヴァが怒りを爆発させてしまう。


ザシュッ!


暴れたシヴァさんが、左手の親指の爪でブラフマーの首を1つ切り落としてしまいました。


切り落とされた首は地面に転がって──いない!



「だーっ!気持ち悪ぃっ!は、離れろーっ!」



血相を変えて左手を振り回しているシヴァさん。

よく見れば左手に首がくっついている。


クソじじいの顔が左手に。



き、気持ち悪い……。



どんなに振っても、どんなに引っ張っても離れない。

不気味な顔がぶら下がっている。



「勘弁してくれよ……。」



深~いため息をつき、ブラフマーを見る。



「なあ……。どうしたら取れるんだ、これ……。」



シヴァが下手に出たのが快感だった。

(かも知れないね。)



「そうですね~。ドクロを持って12年間修行すれば離れますよ。」



「ドクロを持って……?」



「ええ。カパーリンさん。」



あだ名通りになった事に苛立つシヴァ。



「最初から分かってたって事か……?てめぇ……12年後覚えてろよ…」



「はい。頑張って下さいね~。」



笑顔で見送るブラフマー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る