【その3】の別バージョン

べろんべろんのブラフマー。

何だか知らないが、愛娘サンドヤを口説きにかかります。


眉をしかめ、変態を見る目で父親を見るサンドヤ。



「お父さん、飲み過ぎよ。馬鹿なこと言ってないでもう飲むのやめたら?」



「馬鹿なこと……?私は本気ですが……?」



「変態!私は人妻よ!?っていうか、それ以前に実の娘でしょ!?」



帰る!

と言い残し、実家を後にするサンドヤ。



「逃がしませんよ、愛しのサンドヤ……。」



変態オヤジめ……。



「うっ、鳥肌……。」



ゾクッとしたサンドヤは、父親の行動を察したのか牝鹿に化身して姿を隠しました。



ところがお見通しのブラフマー。

牡鹿に化身し、牝鹿サンドヤを追いかけます。



このオヤジ、しつこいったらありゃしない。

サンドヤはもうヘトヘトです。


諦めかけたその時──

一本の矢が放たれ、牡鹿の首を切り落としました。


ほっとして、倒れた牡鹿を見つめるサンドヤ。

と、落ちた首がドカッと蹴り飛ばされた。



「この変態野郎が……。俺の女を口説こうなんて良い度胸してやがる……。」



ギロッと牡鹿の胴体を睨むのは、サンドヤの夫のシヴァさんでした。



「え~ん、シヴァ~、怖かった~、」



化身を解き、抱きついて来た奥さんを抱き締めて、牡鹿の胴体を蹴りつけた。



「死んだふりしてんじゃねぇぞ変態オヤジ。おっと、義理のお父様だったっけ?」



「う……一体何が……」



化身を解いたブラフマーの顔は4つになっていた。

5つめの顔は鹿の首として転がってます。


きょとんとしているブラフマーが腹立たしい。



「てめぇ!サンドヤ口説いてんじゃねぇよ!酒癖悪すぎだこの野郎!」



「えぇーーっ!私がサンドヤを!?えぇーーっ!?」



自分の娘を口説いたと言われ、確認しようと娘を見た。

娘の目は変態を見る目つきで──事実は明らかだった。



「酔っ払いの変態オヤジ!お父さんなんか大っ嫌い!」



ガーンとショックを受けて項垂れるブラフマー。



「変態野郎。二度とサンドヤに近づくなよ。縁切りだ縁切り。じゃあな、見知らぬ変態オヤジ。」



去って行く二人を茫然と見送って、禁酒しますと呟くブラフマーでした。


変態ブラフマー……ドンマイ!

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