第4話 Each World

環境課の山内さんは目的地に向かいながら、昔と今の状況を説明した。


昔は、こちら側の住宅地に面したエリアには出没することは無かったんですが、近年の気温上昇のせいか、熊の食料となるくぬぎやシイの木が枯れていき、食料を探しているうちにこちらのエリアに侵入するようになったんです。


温暖化は色んな所に影響が出てるんだよなあと思いを巡りながら歩いていると牧村から

『ユウト、生命体反応が50メート以内にあるから気をつけろよ。』と連絡してきた。するとチワワのミルクがワンワンと吠え。端末を見ると、

(何かいるワンよ、ご主人様気をつけて下さい。)と表示されていた。


『何、ミルクちゃんがしゃべってるの。カワイイんだけど。』みかんは驚いた。


『みかん、スナイプの準備をしておけ、近くにいるぞ。』


するとクールが突然走り出し、ミルクもそれにつづいた。セカイはいつの間にか木の上に登っていた。店長たちも後につづいた。ミルクは茂みの方に向かって激しく吠え出した。すると、黒い毛でおおわれた大きな塊がのっそのっそと現れた。


『出たぞ、熊だ!』山内さんが叫んだ。大きな熊の前にミルクが立ちはだかった。

しかし、あまりにも大きさが違った。ミルクは吠えながらも後ずさりしていた。

その時、木の枝からセカイが熊の背中に飛び乗った。熊はセカイを振りほどこうとして左右に頭をゆらしたが、何とか落とされまいとしがみついた。そのすきにクールは熊の右足に猫パンチを繰り出したがまったく聞いていないようだった。

店長はセカイとクール熊の近くにいる為、みかんがスナイプできない状況を把握した。


『牧村、グーリー機能を使ってくれ!みかん、その瞬間がチャンスだスナイプしてくれ!』

すると、ミルクの首輪にあるスピーカーから成獣のけたたましい唸り声が響いた。

セカイとクールは熊から離れていき、ミルクは逃げるようにこちらに向かって走って来た。『みかん、チャンスだ!撃て!』

『店長、まかせて。いくわよー。』と引き金を引く直前にみかんのスコープに木漏れ日がさした。ドキューンと銃声は鳴ったが熊に変化はなかった。バサッと音がしたと思ったら、何やら茶色い塊が熊の目の前に落ちてきた。


『あれっ、蜂の巣じゃないかな。大きさから行くとスズメバチですよ。』

『それじゃ、熊は刺されちゃうの?』とみかんは訊ねた。

『いえ、スズメバチが針で刺しても熊の毛が長いのでほとんど効かないんですよ。逆に蜂の巣は熊の大好物ですね。』と山内さんが説明するやいなや、熊は蜂の巣を食べ始めて。食べているのを眺めていると、セカイとクールが熊の近くに戻っていった。

ニャーニャーと何か話しているようだったので端末を確認すると、

(蜂の巣が好きニャーか)

(・・・・・・・・・・)

(山の裏側に行くと、一杯あるニャーよ)

(・・・・・・・・・・)

(じゃあ、行くニャーよ。あと、この辺は人間がいるから来ちゃダメニャーよ)

(・・・・・・・・・・)


何か熊と会話しているみたいだな、残念ながら熊の翻訳機能は無いからわからないが裏側のエリアにセカイとクールが誘導してるみたいだな。


そうこうしている内に熊とセカイは奥の方へ歩いていった。クールはこちらの方をむいて叫んだ後、奥に消えていった。

(後で、おじいちゃんの所に帰るニャーよ)


生体反応を確認すると、本当に裏側のエリアに向かっていった。店長とみかんはおじいさんの家に先回りすることにし、待っていたら数時間後、セカイとクールは無事かえってきた。首輪を回収すると店長とみかんは東京へ帰っていった。


帰りの車中にてみかんはぽつりとつぶやいた。

『山の中で暮らす、セカイとクールを見てたら何かネコの本当の顔を見たようなきがしたわ。そう思わない、店長?』

『みかん、気取るのはいいけど、いい加減運転変わってくれ!』






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おじいちゃん猫を飼う⁉️女スナイパー東北出張編 夕哉圭シロー @yuyakeshirou

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