第2話 白い少女

「星野・・・やすは・・・」


さりは勤務先へ向かいながら彼女の名前を呟いていた。


高校時代の同級生・・・卒業してから疎遠になったけど・・・

スクールカーストの頂点にいたのが印象的だった彼女・・・それがなぜ・・・。


会社に着いた。

とにかく、気持ちを切り替えねば。


そして、帰宅の時間。


(はー、今日も疲れた)


電車を待つ人たちでホームはいっぱいだ。

スーツを着たサラリーマンや、制服姿の学生、デパートの買い物袋を抱えた主婦たちが、思い思いの場所に立っている。みんなが同じ目的を持っているにもかかわらず、どこか無言の競争が感じられる。


それにしても気になる・・・星野やすは・・・

同姓同名の別人だろうか・・・


不意に服の裾を横からグイと引っ張られる感触。

驚嘆して引っ張られた方へ視線を移す。

そこにいたのは長い黒髪をたなびかせた10歳くらいの少女だった。

彼女は、真っ白なワンピースを身にまとい、静かに立っていた。

前髪が長く、目元はまるで秘密を隠すかのように覆っている。


「覚エテ・・・イルヨネ・・・」


彼女はそう呟くと、後ろを向き、駅のホームの中を走り去って階段を駆け降りて

いってしまった。


さりはしばらく呆然としていた。

(何?覚えているよねって言ったの?一体何を???)


パァン!!!!


通過電車の警笛の音が鳴り響く。


さりは驚きのあまりその場で「ハッ」と小さく声を出してしまった。


少女を追いかけ、人混みをわけ、階段の方へ駆け寄ったが、

もう少女の姿はどこにもなかった。








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