インフェクテッド
黒煙
第1話 ある日
東京はいつも人であふれている。
駅のホームでは、電車を待つ人々が列を作り、
乗り降りのたびに流れるような人の波ができる。
電車の中でも、立っている人や座っている人がそれぞれの目的地に向かって移動しようとしている。
25歳の女性が、混み合った電車の中で立ちながら音楽の本を読んでいる。
彼女は、手すりに軽くつかまりつつ、ページをめくるのに慣れている様子だ。
周りの喧騒にも負けず、彼女の視線は本に集中している。その本の中には、彼女が大好きな音楽の歴史や理論が詰まっている。
彼女にとって音楽とは、日常のストレスを忘れさせてくれる特別な存在だ。音楽の本を読むたびに、新しい発見や刺激を受け取ることができる。
(昨日のライブも上々の出来だったな〜)
ライブハウスの雰囲気は最高だ。照明がキラキラと輝いて、まるで星空の下にいるよう。音楽が始まると、その光が音と一緒に空間を包み込んで、一瞬で現実を忘れさせてくれる。
彼女の名前は福島さり。外資系企業の派遣社員だ。
ミュージシャンになることを目指し、上京して3年になる。
(これからも頑張らねば〜)
その時、電車が激しく揺れ、彼女は隣のサラリーマン男性に大きくもたれかかった。
「キャッ」
「すいません」
彼女はひとつ会釈をした。
すると、男性が読んでいた新聞の隅の欄に、自然と目がいった。
「⚪︎×市にて女性の変死体を発見。
警察は詳細を確認中。
星野 やすは さん(25)」
「星野・・・やすは?」
高校時代の同級生の名前だった。
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