四 ふたりを擁える
冬は
ただ、今日ばかりは、
「いやああああああ!?」
(予想どおりだったな)
「び、びびび、
さねが
「なななな、なんで!? ど、どういうこと!?」
「なんでって、彼をうごかさせるのは良くないから、そのまま
そんなことより!! と、
また一羽、冬鳥が
「昨日、話があったんだ。
女御とは
父親が大納言以上であればなれる座、
(まさか、桜明の女御は《
なぜ、都で《毒鬼姫》や《毒喰い鬼》などと
しかし、すぐさま
「今日の
「そう。……衝立をもうひとつ頂戴。女御と彼を同室にはできない」
「……僕は帰れないのかな」
「帰って失明したいのか?
「……はい」
桜の季節はまだとおいが、
天子がお気に召すのも
何より。
大輪の花が、
(出身が摂関家なら、中宮にもなられただろう)
百の男が口をそろえて
「して、本日はどのような御用で」
女御の
「
女御の
(《
《花語》
それは、《
これだけ大輪の花が
(毒花は、
ただちに治療を
前後左右、どこをみても花が誇っている。
これは、時間がない。
「治療法を提案します。ひとつは、全身注射。全身に注射をし、根から花を枯らします。それから、過不足処置。花にとってはすくなすぎる水とおおすぎる陽光で、花を
《毒鬼》には確立した治療法がない。
だが、幾度となく己の生身で実験を繰りかえした
都の貴族や
「え、
「ええ、難しいとおもいます。痛みが
(良薬は口に美味し。漢方薬であらば、患者にあっていると、
どうしても、薬学の知識は、典籍ありきになってしまう。ゆえに蓉子の
「……そうですか。えっと、では、過不足処置? と、薬膳療法を……」
(まあそうだよな)
時間はかかるが、その間は《毒鬼》の進行が遅れる、というかとまる。そして、薬の効能で、
「承知しました」
調毒と同様、調薬は
雅明と桜明の女御。ふたりの患者の生命を委ねられたからには、かならず
《毒鬼》の
(わかりきったことだ)
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