いつかきっと

宇宙飛行士になるのが夢だった。

空の向こうは飛び立って、広すぎる世界を冒険したいと思ってた。けど、幼稚園児の僕は知らなかったんだ。宇宙飛行士になるのはものすごく大変で、さまざまな知識、訓練をする必要があることを。

いつしか僕は宇宙飛行士になりたいと思わなくなっていた。


小学校に上がって、自己紹介カードを作成した時、「将来の夢」の欄があった。何を書けば良いのか分からなくて、先生に聞いてみた。

「何か興味があることや憧れてることを書きなさい」と言われた。

その頃パソコンに興味があった僕は、プログラマーとか書いたっけ。もう覚えてすらいない。


中学生になって、職業体験の機会があった。特に何も考えずに、公務員の職業体験を希望した。なんでも「しょうらいあんたい」らしいから。職業体験はすごく退屈だった。ケーキ屋さんに行った友達が羨ましかった。


高校生になって、将来の夢は「進路」になった。相変わらずなりたいものもなかった僕は、とりあえず進学を選んだ。「モラトリアム」という言葉を知って、自分を知った気になっていた。


大学では生物学科に入った。特に好きだったわけでも興味があったわけでもない。テストの点が良かったから選んだだけ。教科じゃなくて学問になった生物は、難しくって面白くなかった。


今は所謂フリーターで、やりたくもない仕事をやって食い繋いでる。

いつかきっと、本気になれる「夢」と出会えるといいな。

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