魔法学校のクラスでひとりだけ使い魔との契約ができていなかった落ちこぼれのミリィ。彼女がなんとか契約を果たしたのは、はぐれ者の魂が入り込んだ羊のぬいぐるみ。
ぬいぐるみが使い魔なんて、しかも中身(魂)はおっさんで犯罪者……!?と、学校やクラスメート、家族からも警戒されるミリィとブラック・シープですが、ミリィは常に使い魔であるシープさんを信じて困難を乗り越えていきます。そしてこのシープさん、ぶっきらぼうで荒っぽいのですが、言動にミリィへの優しさが滲み出ていて、二人が絆を深めていく様子は心が温かくなります。
そんななかミリィの周辺で起きる事件。それにはシープさんが魂で彷徨うことになった経緯が深く関わっていました。シープさんの過去は涙なしには読めません……。そしてクライマックスはミリィとシープさんの間の、まさに「魂の絆」が二人を新しい関係へと導いていきます。
小さな魔法使いと羊のぬいぐるみの、どこまでも純粋な愛情の物語。最終章はぜひハンカチを用意してお読みください。
こちらの物語は使い魔を下せない落ちこぼれと呼ばれるミリィが主人公です。
ある時、夢の中でミリィは青い光と出会い、その光を抱きしめるのです。
そうして目が覚めたミリィの傍には使い魔が。
その使い魔とは――なんとふわふわでもこもこの黒い羊のぬいぐるみなのです!
しかもこのぬいぐるみ、なかなかにすれています。そして中身はおっさんっぽい?
そんな黒い羊のぬいぐるみは「ブラックシープ」。なにやら面倒見の良い使い魔です。
使い魔であるシープと共に学校生活を始めたミリィですが、順風満帆かと思いきや――。
この物語は子供への優しさに満ちています。そして一人の少女、ミリィの成長譚でもあるのです。
その成長を読者は優しく見守る物語だと思いました。
ミリィは優しいだけの少女ではありません。とある子を少し嫉みもするし、厳しい先生の言葉には少し反発してしまう。だけど、シープや周囲の大人に導かれながら自分と向き合える強く優しい子でもあります。それはなかなか簡単にできることではありません。
自分の弱さと向きあえるミリィの強さを見守っているうちに手に汗握りながら応援しているのです。
あの年頃特有の心の揺れ動きを作者様は丁寧に描き、優しくすくい書いていると感じます。はらはらするような展開がありながらも物語を紡ぐ文章には優しさが満ち溢れているのです。
それだけではなく、特筆すべきは世界観の鮮やかさでしょう。子供の頃に憧れたような(勿論今も)きらめきに溢れた世界がそこにあります。
この物語は子供だけではなく、大人になった人々にも優しさが溢れています。誰かを思う優しい祈りの物語です。
そして一人の少女、そしてその周囲の人々を見守る物語でもあります。
ミリィという一人の少女の物語を是非、最後まで見届けてください。
成長へと導くファンタジー。それは優しさに満ち溢れた物語です。
ミリィだけではなくシープ、そして周囲の人々の先々の幸せを願いたくなる物語です。
落ちこぼれのミリィが初めて得た使い魔、ぬいぐるみの黒い羊。
中身はどうもオッサン犯罪者の魂らしい……胡散臭い!
けど、この羊さんは口が悪いのに中身は世話焼きで、悪いこととかしなさそう?
不穏な動きをする同級生や、口うるさい兄、怖い先生と色んな障害を乗り越えたり、かわしたりして成長していくミリィ。
魔法学校の寄宿舎の中での生活はハラハラドキドキ!
さて、人外好きとしての視点でおすすめしましょう。
使い魔の皆さんは全員人外。もうこの時点で嬉しい。
まず黒い羊(ブラック・シープ)。動くぬいぐる
み、ふわもこかわいい。
大きい蛇ちゃん。毒持ってる。主を守ろうと威嚇したりする。かわいい。
ネズミさん一族。いっぱいいる。かわいい。
サラマンダーやシルフといった幻獣の類や精霊、鳥や天馬など、色んな使い魔が出てきます。
言葉を話せる子も話せない子もいるんですが、主とコミュニケーションは取れるので問題なし。
みんなかわいい(*´∀`*)
トナカイの馬車、不思議な噴水と、学校や商店街などの情景も魔法世界の雰囲気が出てて、想像するだけで楽しくてかわいいです!
海外の児童書をわくわくしながら読んだ気持ちを思い出しました。
シリアスとほっこりのバランスも良いです。
読後は幸せな気持ちになれること間違いなし!
ヴェゼル魔法学校に通うミリィ・リリーは、持つべき使い魔をもてずにいた、いわゆるおちこぼれの少女です。
そんな彼女の使い魔となったのは黒い羊〈ブラックシープ〉…ミリィのぬいぐるみでした。
そんなシープさん、明らかに中身がいい感じに煤けたおっさんで、しかも真っ当な大人のおっさんで、
…いかん、これ以上書くと私が泣いてしまう。
この物語に通底しているものは、愛と光です。
それが守られることを登場人物も、それから読者も祈り続けて読み進む、そんな物語でした。
今こうしてレビューを書いていても泣きそうです。
幸せであってほしい。
誰かに対してそう願えることほど幸福なことはないと思います。
魔法が息づく世界、サルム大陸随一と謳われるヴァゼル魔法学校に通うミリィ・リリーは、落ちこぼれ魔女の卵だ。クラスメートは皆、使い魔と契約を結べたというのに、彼女だけはどの動物にも聖霊にも相手にされないと日々悩んでいた。
気弱なミリィは先生に急かされ、級友にはからかわれ、枕を涙で濡らす日々を過ごす中、ある夜、不思議な出会いをする。
夢と現(うつつ)とも言える世界での巡り合わせは、強い絆へと成長していく。
いろんな涙が詰まっている物語でした。読みながら、読み終えて、もう、ありがとうしか出てこなくて、何を書けばいいんだと悩みつつ筆を走らせています。
十代前後の揺れ動き、足掻く少年少女達の姿が、時に面白く、時に私もそうだったなと共感し、心を引っ掛かれ、彼女らに突きつけられる現実に胸が締め付けられました。
使い魔との絆はもちろん、人間同士のもどかしい関係にも心が沸き立つ物語――相手を想って、相手を信じて、相手と一緒に歩む。得難い絆への想いの数々がたくさん詰まっています。
立派に成長していくミリィの選択と勇気をぜひご覧ください!
五百年を超える伝統を持つ魔法学校に通うミリィ。落ちこぼれといわれている彼女は保有する魔力も弱く、妖精を使役するどころか感知することすらままならない。このままでは退学になってしまう。不安にさいなまれるなか、進級試験をひかえたある夜、ミリィは夢のなかで不思議な青い光と出会います。
以前から薄々思っていたのですが、こちらの作者さん。やはり子ども、とりわけ少女の成長譚を書かせたらピカいちなのではないかと思うのです。
それはつまり、非常に魅力的な『大人』を描く作者さんであるともいえますね。子どもの成長を描くのに大人や年長者は不可欠な存在ですから。
もちろん本作も例外ではありません。出番は少ないのに圧倒的な存在感を持った学長をはじめとした先生やミリィのお母さんたち。
そしてなにより、ミリィの相棒となったワケあり使い魔『ブラックシープ』さんがほんとうに素敵なのです。
ミリィと仲間たちの友情と成長にスポットライトをあてた前半と、ブラックシープさんの謎と世界の秘密に迫る後半。序盤からは想像もつかない怒涛の展開をみせてくれます。
純粋なワクワク、ドキドキ、ハラハラ。痛み、切なさ、怒り。安堵、よろこび、しあわせ。あらゆる感情を体験させてくれる珠玉のファンタジー。
ぜひ、たくさんの方にお読みいただきたい、大好きな物語です。
魔法学校。はい、もうそんなのいくつあってもええもんですよね(いきなり)。残念ながら大人になってもう⚪︎⚪︎年経ちますが、私はいまだに魔法学校が舞台となっている物語のページをめくると、自分もそこに通っているような気になってわくわくしてしまいます。
本作の舞台、五百年を超える伝統を持つ名門『ヴェゼル魔法学校』。大陸中から魔法使いたちの卵が集うこの学校に通う、『ミリィ』という名の少女が主人公です。はてさて、どんな素敵な魔法ライフを見せてくれるのか──と一話目に入ったところで。
『このままでは、魔法学校を退学になってしまう。』──なんですってーー!?!?
胸躍る魔法学校生活、いきなりの大ピンチ!どうやら彼女はいわゆる『落ちこぼれ』であり、三年生であれば通常は一体くらい契約しているはずの『使い魔』を持っていないとのこと。学校の華である『決闘(デュエル)』の舞台に立つにも当然、相棒が必要です。だというのに我らがミリィちゃんは、ねずみ一匹にも振られ続けている様子。
そんな進級すらピンチのミリィちゃんが夢の中で出会ったのは、正体不明ながらも不思議な魂の輝き。そして目が覚めると、手作りの黒羊のぬいぐるみが動いていたのです。おっさんくさい、ぶっきらぼうなボイスを搭載して。
こ、この子の魔法学校ライフ、どーなっちゃうのおおおお!?!?
***
落ちこぼれの魔女の卵ミリィと、動いて喋ってバチバチに戦うぬいぐるみ『ブラック・シープ』を中心に繰り広げられる、どこか懐かしい正統派魔法学校ファンタジーです。文体は硬派ながら読みやすく、海外文学を思わせる豊かな表現がたくさん。これだよこれ!!(大興奮)
二人は主従関係となりますが通常は動物や精霊を従えるため、ぬいぐるみを使役する姿は当然目立つ目立つ。なのに強い。しかしファンタジー世界であれ学校という組織はそういったものに厳しく、ミリィたちはたくさんの苦難にぶちあたることになります。(否定する訳ではありませんが)、ラッキーなチートを得て楽々成り上がっていくタイプのお話ではなく、力を得たからこその責任、周りの友達との関係変化について丁寧に描き出していきます。どの章にも違うタイプの困難と解決が仕掛けられていて、構成が本当にお見事。作者さんは子供という存在のことをよく理解されているんだなあと舌を巻きました。
失敗し、学んでいく。学ぶことでしか得られない強さがある。ミリィをはじめ、他の子供達もみんな頑張り屋さんで、どの子も大好きになってしまいました。さらに人の親となった今では先生やお母さんたちの心情もわかってしまい、何度もうるうる。万人におすすめできる、優しいファンタジーです。
しかしこの物語の魅力は、楽しい魔法学校ライフだけに留まらず。ミリィの謎めいた相棒『ブラック・シープ』の秘密に迫っていく後半は、序盤では想像すらできなかった重さに満ちています。
同学年の誰もが知る『落ちこぼれミリィ』。そんな彼女がようやく得た相棒にして、替えのきかない心からのお友達。彼にピンチが迫っていると知った時、彼女は誰もが目を見張る勇気を示していくのです。
子供達のアツい友情と成長に手に汗握る前半、そして絆と勇気に心打たれる後半。ひとつの物語でこんなにも魅せていただいていいんでしょうかというくらいの豪華な内容です。確実にティッシュBOXが逝きます。エコの観点から、ハンカチの準備をお勧めいたします(経験者談)。
完結が寂しいくらいに素敵な物語でした!
一人でも多くの読者さんが、ヴェゼル魔法学校の門をくぐってくださることを祈って。
落ちこぼれと呼ばれる魔法学校の生徒・ミリィが、相棒とも言える使い魔のブラックシープと出会うところから始まる物語です。
大陸随一と言われるヴェゼル魔法学校では、多くの生徒が使い魔と主従関係を結んでおり、ともに過ごしています。
そして『ファミリエ・デュエル』という使い魔の決闘は、その魔法使いの力量を決定付けるほど重要なもの。
にもかかわらず、四年生に進級するミリィは、使い魔と主従関係を結べずにいました。
途方に暮れる彼女の夢に、不思議な黒い羊のぬいぐるみが現れ、彼女の使い魔となってくれるのですが、そのぬいぐるみの中の魂は罪人の男だと言います。
それでも、落ちこぼれと言われる自分と初めて主従関係を結んでくれた、友人とも言える使い魔を手放したくないミリィは、なんとか「彼」との関係を継続させて貰えることになりました。
けれど、学校では不穏な出来事も起こり――
まず、文章から浮かんでくる映像がたいへん素敵です。
ミリィの友人、アントンの肩や袖、髪の隙間から使い魔のネズミが顔を出す様子など、彼のほうき頭も相まって、とても絵になります。
ネズミが顔を出すシーンの度に、アントンのファニーな個性が見えるようで楽しい気持ちに。
こういった、ファンタジーらしいキャラクターの個性の表現が魅力的でした。
他にも、火の鱗が主であるジグの肩に乗っている様子にはジグの一見冷淡そうな雰囲気が(そう見えるだけだけれど)、
水の精が光の粒を散らしながらエドワードに寄り添う姿には、エドワードの王子様的雰囲気が伝わってきます。
そして、ブラックシープとミリィの画もありありと浮かんできます。
ミリィはふんわりした幼い女の子。
ブラックシープはモコモコで可愛らしい姿形の反面、仕草や声・口調が粗暴な男性であるというギャップによるユーモアを含んだキャラクター。
この少女と黒い羊のぬいぐるみとの組み合わせが、作品を象徴する優しさとユーモアと切なさを持ってしっかり浮かび上がってくるところが、とても良かったです。
こんな風に、映像を喚起する文章とキャラクターの個性とのケミストリーが抜群であり、それにより世界観が立ち上がってきます。
世界観が立ち上がれば、自ずと語られる物語にも厚みが増し、説得力が生まれるものです。
ぬいぐるみの中に「罪人」である男の魂が宿る展開。
主の使い魔同士の決闘「ファミリエ・デュエル」という文化と、それを学ぶ魔法学校という設定。
これらは、ただファンタジーの舞台を用意されただけで違和感なく受け止められるものではありません。
そういったものが自然と存在する世界であることが読み手に伝わることで、物語が無理なく展開され、深みを増していくものでしょう。
これが成されているから、その世界で成長するミリィの姿へリアリティが注がれているのだと思います。
ファンタジーの世界観が確立されていても、物語を動かすキャラクターは等身大の子どもたちであることも、魅力です。
例えば、主人公のミリィは、ただただ善良なだけではありません。
正当な理由から自分たちを低く評価するエヴァリット先生に対する彼女の反発などは、ブラックシープという最強の味方が現れたことによる慢心でもあったのでしょう。
「自信を持つ」という大切なことと紙一重の「慢心」は、まさに現実の子どもも抱くことの多いものだと思います。
逆に、ブラックシープと出会う以前に「落ちこぼれ」と言われて傷ついていた時。
ミリィは同じ「落ちこぼれ」同士と思いアントンと親しくなったものの、彼が全く「落ちこぼれ」でなかったことから劣等感を募らせて、彼を遠ざけてしまいます。
ここも、決して褒められたことではないけれど、その感情の現実の味は濃く、「その気持ち分かる」と共感する人も多いのではないでしょうか。
つまりは、ミリィは優しい主人公ではあってもカンペキではない、高潔な精神の持ち主でも、完全なる善良な被害者でもないのです。
読み手が自分と重ね合わせられる部分を多く持つ、「普通」の女の子。
だからこそ、彼女には応援したくなる魅力があるのでしょう。
ああ、でも、私が一番好きなのはアントンでしょうか。
やっぱり、赤毛のほうき頭とネズミがあらゆる隙間から顔を出すシーンは、絵になる。
ファンタジーらしい面白かわいい雰囲気とヴィジュアルが非常に良くて、それに似つかわしい面白かわいい個性も良い。優しいいい子だし。
登場するだけでファンタジーらしい世界観をぐっと高めてくれる、素敵なキャラクターでした。
映像を喚起する文章とキャラクターの個性が織り成す世界観の中、等身大のキャラクターが成長する姿が魅力的な作品です。
使い魔。ファンタジーではおなじみの存在ですが、某ウ◯キペデ◯アによれば「魔女が使役する絶対的な主従関係で成り立つ魔物、精霊、動物などのこと」。なるほど。
この物語に登場する使い魔たちも例に違えず、ねずみ・へび・とかげ・水の精霊などなどです。これらを使役する魔法学校の生徒たちのなかで、使い魔を従えることのできず悩む少女が下ろすことができたのは異色の使い魔『黒い羊のぬいぐるみ』。そんな彼と契約した少女の物語です。
主人公の少女ミリィという子は最初の方はいじけてたり甘えがあったりはするものの、お友達のことを思いやることのできる優しくて本当に素敵な女の子です。私はミリィという子が大好きで大好きでもうメロメロ!
そしてもう一人の主人公、黒い羊のぬいぐるみの彼。『彼』と申し上げましたが、その中に宿ったのは凶悪な犯罪者の魂でした。確かに少し荒々しい態度は見せながらも厳しさと優しさを合わせ持ち、大切な主としてミリィを導いていってくれます。
やがて明かされる彼の正体と辿ってきた人生もこの作品の大きな見どころです。
少女の成長物語として、そしてなにより徐々に深まる二人の信頼と絆には至高という言葉しか思い浮かびません。一人でも多くの方に読んでいただきたい、すばらしい物語です。
子供の成長に欠かせないのが、その子を見守り、導いてくれる大人の存在です。
『落ちこぼれ』の少女・ミリィと使い魔ブラック・シープの関係は、まさにそれだと言えるでしょう。
魔法学校が舞台というだけでワクワクする人も多いのではないでしょうか。
使い魔による決闘シーンは臨場感たっぷりに描かれ、この年頃ならではの人間関係もとてもリアル。
王道をしっかり踏襲しながらも、本作を唯一無二の傑作たらしめるのは、やはり『黒い羊のぬいぐるみ』の中に定着した謎多き魂の存在です。
本来なら主人に使役されるのが使い魔ですが、シープさんはミリィの命令を受けずとも自己判断で戦うことができます。
本来の主従とは違う形であること、その魂が『危険』とされていることで、ミリィはそれまで以上に孤立してしまうのです。
そんな『主人』に対するシープさんの立ち位置と距離感が絶妙。肩入れしすぎるわけでも突き放すわけでもなく、冷静に周りを見て、常にミリィの味方でいる。
とてもまともな大人です。
いったい彼のどこが危険なのか。
彼はもともとどんな人だったのか。
そもそも彼は何者なのか。
『ぬいぐるみ』という『子供の持つアイテム』を、象徴的に感じました。
子供から大人へと成長していくミリィにとって、シープさんはいろんな意味で重要な存在と言えます。
二人の間にしかない特別な絆が尊い。
数々の困難を乗り越えた先で、未来へと向かっていくラストシーンが素晴らしかったです。
幅広い層の方が楽しめる物語です。
もっと多くの方に読まれますように!
魔法学校が舞台の作品。おちこぼれミリィが、訳ありの使い魔と出会い、成長していく物語なのですが、この使い魔が口が悪いけど可愛い。だって見た目は黒い羊のぬいぐるみですから。その名もブラック・シープさん。
動物や精霊などの使い魔を駆使するデュエルや意地悪なクラスメイト、口うるさい兄、憧れの先輩に、友情問題、ほのかな恋心まで、魔法学校での生活を中心に、ミリィの周りは賑やかだったり、時にシリアスだったりと大忙しです。
クライマックスは、訳あり使い魔の過去と現在が繋がる壮大な展開に。
自分に自信がなく、落ちこぼれだった少女が、大切な存在と出会い、力強く一歩を踏み出す物語。児童文学や英国ファンタジーが好きな方にもおすすめです。
わたしがまず思ったのは「ああ、この物語が嫌いな人とは友達になれないだろうな」という感慨です。それほどまでにひきつけられるものがありました。
使い魔を操る子どもたちが学ぶ魔法学校の生徒、ミリィ。彼女は使役する使い魔が見つからない落ちこぼれ。だがある日彼女はついに、自らの使い魔に出会う。だがそれは動物でも妖精でもなく、なんと黒い羊のぬいぐるみ(シープさん)。しかもその中に入っているのは、素性もわからぬ口の悪い男の魂だった――からはじまるファンタジ―、それが本作です。
情感豊かに描かれる魔法学校の様子、ミリィとシープさん、その家族、生徒や先生といった個性的なキャラクター、さらにはデュエルと呼ばれる使い魔を使った決闘のワクワク感。すべてが生き生きと描かれています。それだけでも十分読む価値があると思えるほどに。
ですが、わたしがなにより心つかまれたのは、ストーリー全体にあふれる「光」の質感です。過るのは光でありながらも、それはキラキラとしたハッピーでまばゆいばかりのものではありません。ときに陰もある。不穏もある。つまりは陰影がある。
それはミリィ達子どもの世界が、ただ無邪気で害のない存在ではなく、ある意味では大人以上に心ざわつく昏さがある。さらに、シープさんに宿る男の過去の謎がその陰影をさらに深めます。
それでも、ただいたずらに疑心をあおるだけでなく、物語の先にはたしかに希望があるはず、と祈りにも似た「光」もこの物語からはたしかに感じるのです。
この現実感あふれる「光」の肌触り。
それこそが、現実を生きるわたしたちに重なるかのように、リアルティをもって心に迫ります。この質感に、わたしはなにより惹かれたのです。
たかがファンタジーと侮ることなかれ。この作品に宿る光は、読む人の現実をも照らすことでしょう。その力強さに、感服しています。
魔力を貯めようとしても、魔法を磨こうとしても上手くいかないミリィ。初等科四学年になるための進級試験の内容は、使役した使い魔同士を戦わせること。使役しやすいと言われる動物を従わせることも難しいミリィの呼びかけに応えてくれたのは、はぐれ者の魂だけでした。
ちょっと毒舌な使い魔が、可愛い女の子のバディとして力を貸していく姿にぐっと来ます。
一緒に戦ってくれる自分だけの小さなお友達と、バトルを通してともに強くなっていく物語。物心ついたときから某ゲームシリーズ原作のTVアニメを見て育ってきた私にとって、この魔法学校で繰り広げられる『使い魔の決闘〈ファミリエ・デュエル〉』は子どものように無邪気に楽しめました。
使い魔と主の関係性だけでなくミリィの友人関係も温かく見守りたい、微笑ましくも熱くなれる成長を追いかけましょう!