デスゲームに参加したら俺一人だった
国見 紀行
こういうのって殺し合い…… ですよね?
『あなた達には殺し合いをしてもらいます』
どこか遠くから聞こえるアナウンスが流れたのをきっかけに俺は目が覚めた。
「殺し、あい?」
ひどく頭が痛い。内部からじんじんする痛みは殴打より薬品に近い方法で気絶させられたのかと思ったが、さするとしっかりタンコブができていた。
「どこだここは?」
『なお、最後の一人になるまで君たちは帰れない』
「…… なんだって、マジか!?」
俺は「田村 勝人」と書かれた社員証を首から外してポケットにしまうと、急いで周囲を見回した。ちょっとした小川がある岩場で俺は目を覚ましたようだ。
「デスゲーム、なのか?? てことは俺以外に人がいる? そもそもここどこだよ!」
『では、健闘を祈る』
「あ、ちょ! 俺最初の方聞いてないんだけど!」
情報が断たれるというのは、こういう場面においてマズイ。だけど他の参加者は俺の敵。
「こういう時は、武器の入った支給品を探すのが先決だろ!」
とはいえ、支給品を探すのは俺だけじゃない。それを狙って待ち伏せされてることも考えられる。
ここは、通りがかった参加者を待ち伏せて襲い掛かる作戦で行こう。
「……とりあえず、人の気配はないな」
注意しながらも俺は現在位置の把握と安全確認を行う。
人の気配はなかったが、支給品を設置された気配もない。だがそれは周囲の他の参加者も同じだ。
ありがたいことに水源はすぐ目の前にあったので、数日は何とかやり過ごせるだろう。
「小さいけど魚もいるし、生きていくだけなら問題ないな」
下手に動いて殺されるよりも、生きることを優先しよう。
一日経った。
誰も通らない。
人の叫び声も、銃声も、今日は聞こえなかった。
二日経った。
野生の動物も見かけない。
鳥の鳴き声がやけに近く聞こえる。
五日経った。
魚が取れない。
波の音が強くなった気がする。
二週間経った。
足が痛い。
肩が痛い。
人がいない。
二十日目。
どこかで見たことのある男が小川の近くを歩いている。
「おかしいな、先輩どこに行ったんだろう」
「あっ、高橋さん! 田村先輩いました?」
別の方から見たことのある女もやってきた。
「いや、いないんだよ。おかしいな。デスゲームの予行練習に行ったきり戻ってこないから見に来たら、機材の電源入れっぱなしでどこにもいないし」
「どうします? 明日本番ですよ?」
「もう参加者は拉致ってるんでしょ? いいよ、俺が主催役やるよ」
俺はようやく頭を打ったことを思い出した。
デスゲームに参加したら俺一人だった 国見 紀行 @nori_kunimi
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