最終話 『境界線上の約束』

 雨の降らない真夜中に鳴く。

 風の吹かない夜に産まれた。

 傷口が深くなる時計の針が進む頃。

 それでも見つからない肉体が並べられる。

 ステンドグラスで出来たお人形。

 傷口が深くなる朝が来る。

 誰かに傍らにいて欲しい訳じゃない。

 探しても捜しても見つからない。

 虚空に浮かんだふたりの前に。

 硬く閉じてしまった産道を開いていくのは微熱にも似た悪熱だろうか。 

 覚めるような光の中で時が流れて佇む前に。

 その短針は正午を越えた。

 張り詰めた。

 赤子の声が鳴り響く。

 その産声を聞き届けた二人には。

 嵐みたいな風が吹く。

 綺麗な夢に焦がれるのかしら。

 不殺(ころさず)なんて不遜なのかしら。

 震えるような光の中でわかちあうのを戸惑う前に。

 その長身の針は正午を越える

 時を刻んだ響きの中で。

 硬く閉じてしまった産道を開いていくのは微熱にも似た悪熱だろうか。

 時代も命も失う前に。 

 その時計の針は正午を越えた。


「それで?」

「それで、とは?」

「その海って女の子? いや、六十年生きてるんだから女のひとか? それと、その君子って女の人。どこに消えちゃったの? ふたりとも、消えてなくなった訳じゃないよね」

「いや、海も君子も消えた。アスターリが言うには『本当の死』だそうだ。ふたりとも、もう二度とこの世界には戻ってこれない」

 私の名前はレーレー。

 弟の名前は哲夫。

 両親はだいぶ前に離婚しています。

 哲夫の住むアパートの近くに、マンションが有りました。

 そこに住んでいます。

 それはたまたまだったのですが。

 時々、顔をあわせて話をするくらいの事はしていました。

 でも、今回はほんとうに驚きました。

 哲夫と姉弟でいて、これほど驚いた事はありませんでした。

 それも、つい昨日の事です。

 本当に突然。

 空を飛ぶ自転車にのった、小奇麗な老紳士がやって来たのです。

 心臓が跳ねあがるように驚いた事を覚えています。

 小奇麗な老紳士は、自らをアスターリと名乗りました。

 そして、哲夫の友達だと言いました。

 アスターリに連れられて、魔法使いの街までやったきたのが、昨日の事です。

 そして、今はその街から南に下った場所にある、静かで綺麗な海岸にいました。

「本当の死……」

「生命も魂も、生きるに必要な物が全て消え去った状態の事だそうだ」

 哲夫の説明には、足りない部分がありすぎました。

 こめかみを、指先で叩きました。

「わかるように説明しろよ」

「いや、だから。俺もまだよくわかってないんだよ。習ってる最中の魔法の事もそうだけどさ。海や君子のした事が、なんなのか。俺だってアスターリやエルサンの話を聴いて、やっと飲み込んだくらいの事なんだよ。それでどこまで話したかな。そうそう、だからね、君子とアスターリはずっと争っていた。俺がくたばっている間にね。まるで終わりがないみたいに。海がね、その間を縫ってステンドグラスの所まで近寄ったんだよ。それで、ステンドグラスに手を当てると、こっちを振り返ってさ。赤い宝石の着いたブローチを、ステンドグラスに触れさせたんだよ。そうしたら、ステンドグラスに描かれていた、凄く綺麗な女の子が、ゴロン。て言う感じで出て来たんだよ。俺は、半分はくたばっていたようなもんだったから、猛やアスターリから聴いた話が半分だけどね」

「よくわからないってば」

「うん、だからな。最初はみんなそうだった。特にアスターリは、海と六十年以上も付き合いがあった訳でさ。凄く辛そうだった。それでな、起きた事を整理するのに、君子の事をエルサンとアスターリが調べたらしいんだよ。解析っていうの? どんな魔法を使っていたのか。その魔法で何をしていたのか。そう言う事を調べたみたいなんだよな。そしたらさ、君子はさ、六百年以上前に死んでたんだってさ」

「うん……」

「死んでたって言っても、心臓が止まっていたと言う意味で。ああ、ええと。ややこしいな。どこから説明したらいいんだ。魔の領域って言うらしいんだけど。その領域には、無限に近い物凄いエネルギーが溜まっていて、魔法使いって言うのは基本的にはその魔の領域からエネルギーを引き出して使うんだと。魔法使いは、そこからエネルギーを貰ってくる訳。俺はそれを習ってる最中な訳だけど。それでな、時々魔法使いの一部に魔の領域に深く入り込んじゃって、正体を失くす人間がいるんだと。俺はそれを散々に聴かされた。特に君子に触れた俺には、むしろその危険を冒す可能性の方が高いって事らしい。知らないより、知ってる事の方が、危険な事ってあるだろ? 俺はもう、その危険があるらしい。それでな、君子がそれだった。その危険に冒されていた。もう、六百年前に魔の領域から戻ってこれなくなってたらしいんだよな。ここからはアスターリの推測が入るんだけどさ。君子はおそらく、男性の力を借りずに子供を産みたかったんじゃないかってさ。君子ひとりの力でね。その為にまずステンドグラスの中に、理想の子供の姿を造り上げた。そして、自分の生命をそこに閉じ込めて、子供に捧げたんだよ。そして、自分の生命を捧げてしまったから、代わりに魔の領域からそれを引きずり出して、生命の代わりに使っていたんじゃないかって」

「哲夫、ちょっといいか?」

「うん?」

「あのさ、ステンドグラスに自分の子供の姿を造り上げて、そこに生命を入れたんだろ? その君子って女の人は?」

「アスターリが言うにはね」

「だとしたら、もう目的は果たせてるんじゃないの? もう、子供は生命を貰ったんだろ?」

「ああ、だからさ。魂が入ってなかったんだよ」

「魂……」

「君子はステンドグラスに生命を入れる事には、成功した。たぶん、六百年前にね。だけどな、魂を造る事は出来なかったんだとさ。エルサンもアスターリも言っていたけど、魂を造った魔法使いは、歴史上ひとりもいないんだと。それでだ、君子は魔の領域の莫大なエネルギーに、生きている新鮮な精力をかけ合わせる事で、魂の代わりになるんじゃないかって考えたらしい。俺みたいに、過去を引きずってるような人間の心の隙を突いて、無理やり新鮮な精力を引きずり出してたんだと。六百年の間ね。魔の世界の莫大なエネルギーと、君子自身の血液を使ってね。まあ、だけど、君子の身体はとっくに死んでいたから、その魔法に見合う血液も足りなかった。なによりもな、もし、可能だとしてもだ。世の中に生きている人間の大半が、犠牲者になるような、そんなとんでもない量の精力が必要になるだろうって話だったよ。つまり、君子は六百年前から。自分の娘に生命を分け与えた時から。なにひとつ前に進んでなかったんだよ」

「それで?」

「それで、とは?」

「どうやってお前は助かったんだよ。哲夫」

「さっき話したじゃないか、海が助けてくれたんだよ」

「あのさ。アスターリが教えてくれたけど、その海って女の子。もう……」

「うん、いなくなった」

 哲夫は、ポケットから赤い宝石の着いたブローチを取り出しました。

「それは?」

「形見、かな」

「……」

「海はさ、宝石に魂や記憶を籠める研究をしていたんだよ。君子がステンドグラスに生命を籠める研究をしていたようにね」

「ああ……」

「海は赤い宝石の着いたブローチから魂を、ステンドグラスに移しかえたんだよ」

「でも、そうしたら……」

「海は、いなくなった」

「なんで……?」

「これは俺の想像なんだけど。たぶん、君子の事を救おうとしたんじゃないかな」

「そうは、想えないけど……」

「なあ、レーレー。六十年、記憶の中で魂までどこかに置いてきちゃって生きていく事と。六百年、いつか願望が、いや妄想かな? 妄想が叶うと信じて、死んだまま生き続けるのってさ。どっちが不幸かな。それはさ、六百年も生きてる方が辛いかもしれないけど。なんとなくさ、なんとなくなんだけどさ。例え妄想だとしても、生き続ける理由を持っていた君子と、一番大事な物を失くした海とさ。俺は、どっちが不幸だったのか、わからないんだよね」

「いや、それは……」

「だからさ。たぶん、多分だけどさ。海は、君子の事がちょっと理解できたんじゃないかな」

「そうかなあ……」

「俺がそう思ってるだけだよ。それでさ、ステンドグラスの子供は生命と魂をもって産まれてきた訳。そしたら、君子も消えちゃったんだよ。それで俺は助かった」

「それだよ。どうして君子って女の人まで消えた?」

「君子の身体は、もうずっとまえに魔の領域から帰ってこれなくなっていた。身体自体が魔そのもので支えられていたんじゃないかって。それで、自分の子供をひとりの力で産み出すという、妄想が破れた。海の魂が入ってるからね。そこで、君子を六百年支えていた妄想が破れて、君子は自分を見失った。支えを失った魔そのものの身体が、魔の領域に帰って行った。エルサンとアスターリは、それが結論で間違いないだろうと言っていたよ」


「魔の領域に生命も魂も奪われた者は、完全に消滅して、うまれ変わる事も生き返る事もないそうだ」


「うん……妄想ね……六百年ね……消滅、ね……」

 何かが釈然としなかったように想います。

「哲夫は、それで良いのかよ?」

「俺?」

「その、海って女の子……それに、産まれて来た君子の娘……」

「うん、それがな」

 哲夫は、そう言って波打ち際を指さしました。

「あそこに猛がいるのは、わかるか?」

「ああ、あそこにいるね」

「それで、その横で一緒に遊んでる女の子がいるだろ?」

「いるね?」

「あの女の子がそうだよ。君子の娘」

「ええ!?」

「虹鯨を見に行くって言ったら、着いてきちゃったんだよ」

「着いてきちゃったって……お前、そんな……」

「それでさ、レーレーを呼んだのは虹鯨を一緒に見ようって話じゃないんだよ」

「なんの話だよ……?」

 まだ整理が追い付いていませんでした。

「詳しくは、あの女の子から聴いてくれ」

「うん?」

「レーレーに話があるんだと」

「そうなのか?」

「うん、そう言ってた」


 哲夫と話し込んでいるうちに、水平線の向こうが。

 明るく輝き始めました。


「さあて、見れるぞ。虹の鯨だ、こいつを見るのにえらい目にあったな」

「綺麗だな、わたしはこんな景色を見た事ないぞ」


 輝く水平線の向こうに、大きな影が見えました。

 空を飛ぶ鯨の影です。

 空を飛ぶ鯨は虹色に輝く光輪を背負っていました。

 虹鯨と呼ばれるのは、あの光輪が由来でしょうか。

 哲夫は習ったばかりの魔法を使って、使い魔を呼び出しました。

 使い魔は小人の姿をしていました。

 その小人が、空中に向かってバク転をしました。

 すると、一匹の鳥になったのです。

 その鳥は。

 背中にひしゃげて潰れて、干からびた蛇を乗せていました。

 哲夫がなにか身振りを見せると、鳥は虹鯨に向かって。

 大きく羽ばたきました。

 哲夫の使い魔が、鳥が。

 霞んで見えなくなるほどの遠く。

 そのもっと向こうで、虹鯨が咆えたのです。

 その咆哮は海岸の全てに響き渡っていたでしょうか。


「お話は終わった?」

 いつの間にか、女の子がすぐそこに立っていました。

 猛青年も一緒でした。

 すぐに。

 この女の子が。

 君子の娘だと言う事がわかりました。

「初めまして、レーレー」

「初めまして」

 女の子は、哲夫が言葉で説明していたように。

 本当に綺麗な顔立ちをしていました。

「哲夫さん、どこまで話した?」

「とりあえず、何があったかだけは話したよ」

「わたしの記憶の事は?」

「まだ話してない」

「うん、わかった。ありがとう」

「どうした?」

「あのね、レーレー。初めて会ったばかりだけど、ちゃんと話を聴いて欲しい」

「うん、いいぞ?」

「あのね、レーレー」


「わたし、レーレーと一緒に暮らしてみたい」


「うん?」

 唐突な申し出でしたから、返事に困りました。

「順番に説明するとね。わたしは、海ってひとの記憶を引き継いでる。その人がわたしに魂をくれた時に、一緒に記憶までくれたんだって。わたしはね、六百年の間。ずっとずっと、寝ていたようなもんなんだよね。記憶って言うのも曖昧でさ。ただ、ぼんやりと。君子って人が、男の人を連れて来ては何か酷い事を繰り返してたって、覚えてる。それも、夢の中って言うのかな。そんなくらいにしか、わからないんだよね。それに比べて、海って人の記憶が凄く良く残ってる。海って人はね、レーレーの事が嫌いだったの」

「そうなのか」

「哲夫さんに、酷い事したからね」

「そうか、それはそうだろう」

「海ってひとはさ、六十年の間。アスターリの記憶の中でしか生きられなかった。だから、哲夫さんの使い魔が、魂を籠めたブローチを取り戻してきた時、本当に嬉しかったんだよね。そのまま、哲夫さんの事が好きになっちゃった。だから、哲夫さんを傷つけたレーレーの事が、大嫌いなの」

「わかってる……」

「わたし、うんと考えた。猛さんにもアスターリにも、今日まで出会った色んな人に、うんと相談した」

「……」

「わたしさ、君子ってひとの記憶はないけど、気持ちはなんとなくわかってる。君子って人は、男の人が嫌いだった。理由は、争ってばかりで何も産まないって言う理由。だからって言って、女の人が好きって訳でもなかった。だけどね、わたしはなんでかしらないけど、女の人が好きなんだよね」

「わかるよ……」

「あのね、レーレー。付き合ってとか、恋人になって欲しいとか言う話じゃないんだよね。レーレーは哲夫さんに酷い事をした。そして、それをした事を、認めた。君子て人が、最後まで男の人に出来なかった事を、レーレーは哲夫さんにした。それで、レーレーのした事が許されるなんて、思わないけれど。少なくとも、わたしの中の海ってひとの記憶は、それを絶対に許さないけれど」


「レーレーは、レーレーのした事を認めた」


「あのさ、あなたはわたしが嫌いなんだよね?」

「嫌いだね」

「それで、何で一緒に暮らす事になるの?」

「哲夫さんとはそうしてたでしょ」

「え?」

「哲夫さんに散々酷い事して、それでも一緒に暮らしてたんでしょ」

「それは、そうだけど……」


「わたしはね、レーレー。わたしの記憶の中の海ってひとは、哲夫さんの事が好きだし、レーレーの事が嫌い。でもレーレーが自分のした事を認めた事は、いつかは認めなきゃいけないと思ってるんだ。そして、わたしはそう言う人間になりたい。わたしは産まれて来る為に、大勢の人間を犠牲にした。わたしは、それを背負えない。だけどね、いつか。いつか、それをちゃんと認めて、背負える人間になりたい。レーレーや、哲夫さんみたいに。アスターリや猛さんみたいに。自分がひとからされた事や、自分がやって来た事を。認められるひとになりたい。自分が誰かのせいで苦しんだり、楽しようとして誤魔化したり、ひとを助けたり、誰かを好きになった事を。ちゃんと認められる人間になりたい。好きだとか嫌いだとか、そう言う事は捨てられないし捨てたくないけど、本当はどうだって良い。そう言う事を誤魔化さずに自分が生きてる事を、ちゃんと認める事の出来る人間になりたい。わたしはさ、レーレー。自分の為にレーレーと暮らしたい。少しの間でもいいし、嫌だったら断ってもらってもいい。私と一緒に暮らして欲しい。わたしは知りたい事がたくさんある。わたしはさ、六百年も生きてるんだけどさ。それでもさ」


「わたしはさ、まだ何も知らない」

「それは、みんなそうだと想うよ」


 束の間。

 沈黙があった。


「一緒に暮らす話、考えておいてね。レーレー」

「わかったよ、考えておく」

 猛青年が、女の子を誘いました。

 また、波打ち際で遊びに興じるのでしょうか。

 まだ、心の整理がつきませんでした。

 空を飛ぶ大きな鯨が。

 その雄大な姿をひるがえしました。

 再び。

 大きな。

 大きな咆哮が。

 海岸の全てに響き渡りました。


「哲夫」

「なんだよ、レーレー」

「これから、どうするんだ? 魔法使いになるのか?」

「それはわからない、魔法を習ったのは虹鯨に使い魔を届ける為だしね」

「まあ、それはいいよ。帰って来るのか?」

「いや、まず区役所に行かなきゃいけないんだ」

「区役所?」

「魔法使いの街でそれなりに生活するには、それなりの手続きが必要なんだよ」

「あのさ、哲夫」

「うん」

「漫画、描けよ」

「そうだな」

「夢だったんだろ」

「そうだよ、ずっとね」

「なんで、描くのをやめたんだ?」

「やめた事はないよ、描けなくて辛かった時期の方が長いけど」

「ずっと描いてないのか?」

「まあ、そうだね」

「じゃあ、描けよ」

「描くよ、気が向いたらすぐにでもそうするさ」

「そうしろ」


「夢を忘れるな」


 無限と言う言葉があります。

 その言葉が、ずっと嫌いでした。

 もしかしたら、今でも嫌いかもしれません。

 無限に生きた彼方に。

 青春や、情熱や。

 夢や希望が、残る物なのでしょうか。

 どうしても、そうは想いませんでした。


 無限の果てにある物が。

 幸福や祝福などとは限りません。

 限りあればこそ。

 この命、尽きるまで。


 いつか。その言葉も、記憶すらも乗り越えて。

 いつか。青春も、時代も、齢も,若さも乗り越えて。


 海岸に。

 気持ちのよい潮風が吹き渡りました。

 太陽と月の影に悪い魔女がいた。

 魔女がささやくと、男たちが集まりました。

 吹き荒れる嵐の影に、あくどい魔女がいたならば。

 時に心の傷に捕らわれたとて。

 生き行く先に、影が落ちたならば、いざ参らん。


 こうやって、額の上に手を翳し。

 夢の彼方に歩いてゆけば。

 さあ、今こそ。

 こうやって、太陽の光に手を翳し。

 明るい空を仰ぎ見る。

 さあ、手を伸ばしたら。

 

 誰にも答えなんて出せはしない。

 誰かと共に生きる事こそ。

 神にも悪魔にも遮る事などできはしない。


 遠くの景色を眺め見る。

 遠望に。心を馳せれば、夢の中。

 今はまだ、誰とも知れない夢を見る。

 何にも知らない日和なら、若さも恐れも脱ぎ捨てる。

 

 今しか出来ない事なら丁度いい。

 見果てぬ向こうの遠望に、明日があるならそれもいい。


 全てを忘れて、とろけるような眠りにつく前に。

 果たせなかった、夢や希望。

 絶望も野望も。

 その言葉も、青春も。

 いつか、奇跡ですらも乗り越えて。


 私は、わたしの事を。

 貴方は、あなたの事を。

 その命が尽きるまで。

 

 いつまでも、消える事のない罪と誇りをひとつずつ。

 

 少女、波打ち際に立つのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『境界線上の約束』 青木克維 @KATSUO-create

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る