第10話(完結)舞踏会でごめんあそばせ〜


ガーランド領は、かつてない輝きに包まれていた。闇の精霊ベヒモスの消滅により、世界に平和が訪れた今、アリス=ガーランドは全人民を招いた盛大な舞踏会を開催する。カナン王国のヴィネ女王とウンディーネ、エデン王国の第二王子ルカ・エデンシアとシルフ、タイタニアのドドルとダダル、改心した魔族のモルドとその民、そしてガーランド領の村人たち。楽園の領主館は、絆の祭典で沸き返っていた。


領主館の大広間は、シャンデリアの光と慈愛の炎の輝きで彩られていた。村人たちが手作りした花飾りと色とりどりのテーブルクロスが会場を華やかにし、市場から運ばれた料理――焼き立てのパン、果物のタルト、香ばしいロースト――が並ぶ。子供たちが歌を練習し、巨人族の戦士たちが巨大な太鼓を打ち鳴らす準備をしていた。アリスの白いドレスは慈愛の炎に輝き、20歳の黒髪ロングの美貌は楽園の女王そのものだった。


リナがタルトを運び、目を輝かせる。


「アリス様、楽園の料理、モルドさんも絶対ビックリするよ! 私たち、最高の舞踏会にする!」


トムがテーブルを整え、笑う。


「アリス様の舞踏会、戦争より派手だぜ! 魔族も巨人族も、ノックアウト間違いなし!」


子供たちが花冠を手に、走り回る。


「アリス様、めっちゃキレイ!」「ルカ様、ヴィネ様、早く踊ってー!」


アリスは村人たちの熱意に微笑み、高笑いした。


「ふふ、皆様の心、マダムとしてこの上ない喜びですわ! ティーテーブルを超え、舞踏会で世界を繋ぎますわ! おーっほっほ!」


心の中で、フェニックスがすれた口調で呟く。


「やれやれ、アリス、ベヒモス倒したと思ったら今度は舞踏会で世界まとめるか。マダムすぎるぜ」


「ふふ、フェニックス、貴方の皮肉、愛らしいですわ! 舞踏会は、マダムの心意気の集大成です!」


賓客たちが到着した。ヴィネ女王は青いドレスに銀の毛並み、金色の瞳が威厳を放つ。ウンディーネが静かに寄り添う。ルカは扇子を手に、白い礼装でキザな笑みを浮かべ、シルフが風を纏う。ドドルは赤い髪を控えめに結い、初めてのドレスに照れるが、ダダルが豪快に背を叩く。モルドは黒いローブを脱ぎ、質素な灰色の礼装で現れた。かつての傲慢さは消え、ぎこちなさが残る。


ルカが扇子を振って出迎えた。


「ヴィネ女王、ドドル殿、モルド殿、ようこそ! アリス様の舞踏会、私の心、貴方方の輝きに焦がれます!」


ヴィネが静かに微笑む。


「アリス、ガーランド領の絆、感服する。この舞踏会、カナンの誇りを共に刻もう」


ドドルが小さく頷く。


「アリス様、タイタニアを代表して……ありがとう。私、踊れるかな……」


ダダルが笑い声を上げる。


「ドドル、緊張すんな! アリス様の舞踏会、タイタンの力で盛り上げるぜ!」


モルドが低く頭を下げる。


「アリス=ガーランド……貴女の光に敗れ、赦された。この場に立つ資格、俺には……」


アリスはモルドに歩み寄り、優雅に微笑んだ。


「ふふ、モルド殿、過去の闇は光で払いましたわ。マダムの舞踏会は全ての方を歓迎します! 共に踊りましょう! おーっほっほ!」


---


舞踏会が始まった。大広間の中央で、村人たちの楽団が弦楽器と笛を奏で、軽やかなワルツが流れる。アリスはルカと手を組み、優雅に舞う。ルカが囁く。


「アリス様、貴女の光、私の風を永遠に輝かせる! この舞踏会、歴史に刻まれます!」


ヴィネはウンディーネと静かに踊り、獣人の堂々とした動きで会場を魅了。ドドルはダダルの後押しで村人の若者と踊り、ぎこちないが笑顔を見せる。巨人族の戦士たちは5メートルの巨体で巨大な円舞曲を披露し、床が揺れる。モルドは魔族の戦士たちと控えめにステップを踏むが、子供たちが花冠を渡すと、初めて柔らかな笑みを浮かべた。


シルフが風で花びらを舞わせ、ウンディーネが水の光で会場を彩る。フェニックスが心の中で笑う。


「やれやれ、アリス、魔族まで踊らせちまったな。モルドのあの顔、ティーカップ持たせたいぜ」


子供たちが歌を披露し、会場が拍手に包まれる。リナが叫ぶ。


「アリス様、楽園の歌、みんなの心に届いたよ! モルドさんも笑ってる!」


トムが拳を振り上げる。


「アリス様の舞踏会、最高だ! 魔族も巨人族も、楽園の仲間だぜ!」


長老が静かに言う。


「アリス様、ベヒモスの闇を払い、エデン貴族の企みを暴いた。貴女の拳と心、世界を変えた」


舞踏会のクライマックスで、アリスは広間の中央に立ち、慈愛の炎を輝かせた。彼女は拳を握り、全員を見渡して高笑いした。


「ふふ、ヴィネ女王、ルカ殿下、ドドル殿、ダダル殿、モルド殿、皆様! ガーランド領は楽園、すべての民の心が集う地ですわ! 戦争も闇も、マダムの心意気と拳で乗り越えました! これからも、どんな問題があろうと、わたくしの拳とティーテーブルで華麗に解決しますわ! おーっほっほ!」


会場が歓声と拍手に沸いた。ヴィネが槍を掲げ、宣言する。


「アリス、貴女の志、カナンの誇りと共にある。楽園の未来、共に守ろう」


ルカが扇子を振り、微笑む。


「アリス様、私の剣と心、貴女の光に永遠に! 楽園は不滅です!」


ドドルが拳を握り、声を上げる。


「アリス様、私、怖かったけど……楽園のために、タイタンの力で戦うよ!」


モルドが静かに言う。


「アリス……貴女の光、俺の闇を照らした。この絆、決して忘れぬ」


子供たちが駆け寄り、アリスに花冠をかける。


「アリス様、ずっと大好き!」「楽園、永遠にキラキラ!」


アリスは花冠を手に、慈愛の炎を輝かせた。彼女の笑顔は、楽園の未来を照らし続けた。


---


夜が深まり、舞踏会は最高潮を迎えた。巨人族が太鼓を打ち鳴らし、魔族が村人と肩を組んで歌う。エデン貴族の陰謀はベヒモスと共に終わり、世界は新たな絆で結ばれた。アリスは子供たちと腕相撲で遊び、モルドに紅茶の淹れ方を教える。フェニックスが心の中で締めた。


「やれやれ、アリス、戦争も闇も舞踏会で片付けちまったな。次は何だ? 宇宙でも拳で解決か? マダム、恐ろしいぜ」


アリスは星空を見上げ、心の中で応じた。


「ふふ、フェニックス、宇宙も悪くありませんわ! どんな未来も、マダムの心意気と拳で華麗に! おーっほっほ!」


ガーランド領の楽園は、すべての民の笑顔で輝き続けた。どんな問題が訪れようと、アリス=ガーランドの拳とマダム魂が、世界を照らし続けるだろう。


(完結)

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異世界マダム〜異世界でも拳でごめんあそばせ〜 六六-B @66-B

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