「お〜い、みんな戻ったぞ」

　過去問を手にした俺はいつもの部室へと戻る。

「おかえりなさい」

「おかえり〜」

「おかえりっす」

「どうしたんだ響なんかやらかしたのか」

「ちげぇよ」

　一応優等生なんだぞ。

「これだよ生物の過去問、獅王のためのな」

「あの勉強を教えると言っていた」

「ということは勝ったんすね」

「もちろん」

　同率と言われた時は焦ったけど。

「ね〜それなんの話〜」

「不動産って知ってるっすよね」

　不動産って言ってもわからないだろ。

「すみません知らないです、誰ですか不動産って」

　そらそうだ。

「不動のナンバースリー略して不動産、俺が名付けた」

「そいつなら聞いたことあるな」

「響が不動産にテストで勝ったら過去問をくれるって勝負を挑まれたっす」

「それで〜響は無事勝利したってことね〜」

「そういえば俊と不動産は同率三位だって一年の時より俊結構順位上がったよな」

「マジっすか、三位の座を奪ってやろうと思ってたんすけどやっぱり不動産の異名は伊達じゃないっすね」

　こいつもこいつでほんといい性格してるよな。

「それでお前たちは何の話をしてたんだ」

「東の噂の話をしてたっすね結局わからなかったのでみんなにも共有しよう」

「ひどいな響、俺たちを置いて一人だけいいところ取ろうとしやがって」

　あれ？俺一人だけの責任になってない俊のやつ話捏造しただろ。

「俊」

「何のことですか言い出したのは響っすよ」

　それは思いっきりわかってる反応なんよ、それにお前もノリノリだったじゃん。

「なんで秘密にしたんですか、説明してください」

「悪かったって」

「別に〜謝罪を求めてるわけじゃないのよ〜シューちゃんも何か隠してるんでしょ〜」

「いや俺は全くの無実っすよ」

「何年私といると思ってるの〜このくらいお見通してなんだから〜」

「……実は三人の勉強の妨げにならないようにと思って、そうだよな俊」

「そっそうっすよこれはみんなのことを思っての行動っす」

「そうだったのごめんねシューちゃん、ありがとう」

　ちょろすぎだろ。俊言ったこと全部真に受けるじゃん、いつか騙されるぞ。

「まぁ別にいいけど結局わからないかったんだろ、響にはやっぱり俺たちが必要なんだな」

「そうですねいくら響といえども一人では限界があります、さぁ僕たちを頼ってくれてもいいんですよ」

「すまんけど、俺はもう見当がついてる」