第21話 カップ麺
「ふ〜〜いよいよテスト明日だな」
今は午後十時明日に向けてラストスパートとというところだ。
「今回は結構自信あるなもしかしたら副会長よりも点数良かったりして」
あれから獅王は毎日のように調査部に顔をだし勉強をしている。その時間俺も勉強をしているのでいつもより勉強時間が多くなっているのだ。
「そうだ、エナドリとカップ麺があるんだった」
今朝学校でお礼と激励を込めて俊からもらった。エナドリは分かるがカップ麺を学校に持ってくるとか度胸あるな。
俺は鞄からガサゴソとカップ麺を取り出し自室からキッチンへと向かう。
響流カップ麺の食べ方講座スタート
ペリッと容器の半分だけ開けカップ麺にコポコポ電気ポットからお湯を注ぐ。
蓋を箸で抑え付け湯気を監禁する。
その時三分は絶対に測らない、俺の感覚だけを頼りにその日の麺の質を決める、これが俺の流儀だ。
そろそろ頃合いか
「いただきます」
ベリッッ
一気に蓋を剥がし溢れ出る湯気が顔を覆う。
この湯気が最高にたまらない。
まずはスープを一口いただく。
このスープは合鴨の出汁が使われている。
クセがなくだが鴨の旨味は引き出され脂も十分に感じられる。
この味、最初の一口が俺の身体へと染み渡り俺のものになる。
次に麺を少量つまみ啜る。
今回は硬めだ、食べたいという欲が収まりきらなかったようだ。
だがこれでいい、いやこれがいいのだ。
麺の硬さは一期一会だ。この感触は二度は食べられないだろう、麺の一本一本に神経を注ぎ噛みしめる。
スープとの絡みも最高だ。時折来る長ネギは舌に新鮮さと心地良さを与える。
こんなにうまいのがあったなんて流石の情報通だ、俊には感謝をしなければ。
俺は舌に残る薫りを楽しみながら余韻に浸る。
そしてこれが一番の楽しみ方
これでもかと箸で麺をすくいあげ食す。
麺を豪快に一口
もったいないと思うかもしれないが、一度はやってみてほしい。
夜にカップ麺を食べるという背徳感、それがさらに倍増どころではない百倍、いや億倍になる。
パンパンに詰まった口の中そこには一時の楽園が、それはまるで子供の頃に作った泥団子を彷彿とさせる。
そしてみんなのお待ちかね白米
本当は炊きたてホヤホヤの新米ご飯が理想だがないものは仕方がない。
ガチャ
「なっない!」
炊飯器を開けると釜には何も入っていない、衝撃から思わず声がでてしまった。
「冷蔵庫にワンチャン」
急いで冷蔵庫の中にご飯が残っていないか確認するが現実は非情だ。
だとするともうあれしかない、俺は引き出しからパックご飯を取り出した。
仕方がないこれで我慢するか。
レンジで温め試しに一口。
「うんっま!」
パックご飯なんてほんと記憶にないぐらい久しぶりに食べた、こんなに美味かったっけ本当に昔食べたのはこれと同じものなのかと自分を疑う程にうまい。
これならなにも不足はない、だがひとつ難問があるそう何を入れるのか。
乳製品なら、チーズかバター辛味を足したければコチュジャンか七味かラー油かどれもいい迷う、どれかひとつだなんてとてもじゃないが決められない。
しかしここはシンプルに塩コショウで、迷った時にはこれだ。
ポチャッ
米を投入し待つこと約一分。
スープを吸わせた米に上から塩コショウを振りかける。
そしてまずは一口、次に二口、さらにもう一口、これがもう止まらないほどにうまい。
最後の一粒、最後の一滴まで残さず
「ごちそうさまでした」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます