第7話 情報漏洩

コンッコンッコンッ


「どうぞ入っていいわよ」


「失礼します」


 次の日の放課後俺は生徒会室を訪れた。


「あら響、失礼だと思うなら帰ってもらっても私は構わないのだけれど」


「じゃあ俺は帰らせてもらうぞ、昨日のお礼とこのリストを渡しに来たのに要らないのかせっかく来たのに時間の無駄だったな」


「待ちなさい、私もいまちょうど時間があるからまぁ話だけなら聞いてあげてもいいわよありがたく思いなさい」


「いま一人で暇なのか、もしかして無能すぎて仕事がもらえなかったとか」


「他の委員は部活の巡回に行ったところよ、私は体育館倉庫の確認をお願いされていたのだけれど、あなたたちが引き受けてくれるというから」


 やっぱり確信犯だったな、雑用押し付けやがって。


「何か不服そうな顔ね、言いたいことがあるならどうぞ」


「さぁ何のことやら分かりませんねぇ、俺は元々こういう顔ですが、人の容姿を馬鹿にしないって親から教わらなかったのかな」


 実際に助けられたのは確かだから言い返せないな、そもそも生徒会といち部活では地位が違うんだよな。なんていうと思ってるのか


「あなたの方こそ私の両親のことを侮辱しましたね許しませんよ」


「新情報、副会長はファミコンだった」


「ファミコンとはなんですか、まさかゲーム機のことではないでしょうね」


「ファミリー・コンプレックスの略称ですよよくマザコンとか言うでしょ」


「あらこの場合両親なのでペアコンでは、英語の勉強が不足してるのではないですか定期テスト大丈夫かしらね」


「さらに新情報の追加、副会長合コンに参加パートナー募集中」


「はぁ〜冗談はその辺にしましょう、何か用があるんじゃないの」


 勝った。副会長とは別に仲が悪いわけではないけどなぜかに向こうからの対抗心が強いんだよな。でも売られたケンカは消費税+チップを付けて買うしかないよな。


「はいこれリストいくつか買い替えたほうがいいのがあったぞ、それと昨日は助かったよ一応礼を言っておくよ」


「報告ご苦労さま、こちらこそ助けられたわ」


「そうだ、ウィッフルボールについて聞きたいんだけど」


 あのボールで合っているか確認しないといけないからな。


「さすが耳が早いわね、さすが調査部といったところかしら」


「まぁな、それでどうなんだよ」


 ん? 何の話をしているのかわからないがとりあえず話を合わせておこう、面白そうだし。


「普通なら大会の前日まで秘密事項だけどどうせある程度は知っているのでしょう、そうよこのままいくとウィッフルボールは十中八九競技に入るわ」


 なるほど、球技大会の種目の話か今聞けるのはラッキーだな。


「種目は毎年どうやって決めているんだ」


「球技の中からいくつかランダムで選ぶの、その中から競技人数やルール次第でバランスを考えて三つから四つほど決めるの」


「そうか、それは初めて聞いたな」


「あなた去年は何の種目に参加したのかしら」


「確かバスケットボールだっけ」


 この時にいっしょにプレーして俊と仲良くなったんだよな。


「その時は跳び箱がなくなったのかしら」


「さぁどうだろう? その時俺は噂について聞いたことなかったから特に意識してなかったな」


 思えば球技大会が終わった後騒がしいかったのはこれが原因か。


「それよりウィッフルボールのことをあなたが知ってるということは生徒会の中の誰かが情報漏洩をしたということよね、厳しく注意しなくてはいけないわね」


 ごめん生徒会の人、後は任せた。


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