第4話
「おお...!」
今、我が家の食卓は一人暮らしを始めて以来一番と言っても過言ではない輝きを放っていた。テーブルには焼き鮭や卵焼き、筑前煮などザ・和食という料理が並ベられていた。
ゆめは台所に立つなり慣れた手つきで調理を始めた。家にある食材や調味料は好きに使っていいとは言ったが、明らかに我が家にはなかった食材なども使用していたようだったので自宅から持ってきてくれてたものもあったのだろう。
有難い反面、わざわざそこまでさせてしまったのには申し訳なさもある。
流石に調理は手伝うと申し出たのだがゆめに「ゆうくんは楽しみに待ってて」と言われてしまいどうやら手出し無用とのこと。申し訳なさはあったが足手まといになるのもごめんなので引き下がるしかなかった。これからは料理ちゃんとやろう・・。
「いただいてもいいか?」
「どうぞ召し上がれ。ゆうくんのお口に合うといいけど」
「それじゃあ...いただきます」
「!」
ゆめが作った料理は何に口をつけても美味しくどれも絶品といえるものだった。結局ゆめの前で箸を止めることもなく夢中になって完食してしまった。
「ふう。ごちそうさまでした」
「ふふ、お口に合ったようでよかった。」
「ああ、ほんとにおいしかったよ。すごいなお店でも出せるんじゃないか」
「言いすぎだよ、でも美味しそうに食べてくれてよかった」
「ありがとうな、こんな朝っぱらから。この後予定とかないようなら好きにくつろいでいってくれていいから」
「あ、それならゆうくんさえ良ければこのあと一緒にお花見でも行かない?」
「お花見?」
「そう!近くの公園に屋台が出てるらしくてね、よかったらどうかな?」
「了解。じゃあ少し休憩したら行こうか」
「やった!」
俺も別段この後予定があるわけではなかったしもう二度寝をするという気分でもない。桜が咲いてからしっかり桜を見る機会もなかったし丁度いいだろう。
「というかゆめ、こんな朝から家を空けてきて両親に心配されないか?」
「そこは大丈夫だよ。昔からゆうくんの話はしてたし、今朝のことも言ってきてあるから」
・・・まさか両親から許諾を得ているとは...。普通一人暮らしの男の家に自分の娘を上げるか?何かするつもりなど毛頭ないけど俺が気を付けないとな...。
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