第3話 公園にて〜夕刻〜
夕方になると、この公園も少し人が増える。大体が学校帰りの小学生たちだ。思い思いの遊具で遊んでいる。
その中に、鉄棒の前に立つ、あの少女がいた。何人かの友達と思われる小学生が少女を見守っている。
少女は鉄棒を握り、見事に逆上がりを決めた。気をよくしたのか、もう一度逆上がりを試み、今度は2回連続で回ってみせた。
見守っていた小学生たちは口々に彼女を褒め称える。彼女に触発されたのか、何人かが逆上がりに挑戦するもののなかなか上手くいかない。
少女が、出来ない子にアドバイスを送る。それでも上手くいかない子には、その子の背を押してやって、くるりと回してやっていた。
だいたいのコツを掴んだ子たちは、すぐに逆上がりが出来るようになった。少女はそれを見て、楽しそうに微笑んでいる。
ふと、少女と目が会った。ブンブンと手を振ってくる。まあ悪い気はしない。こちらも片手を上げて応えてやる。
ポーン、と音が鳴り、一瞬びっくりした。帰宅を促すアナウンスだった。
まだ遊び足りないと言った不満が小学生たちの口から上るものの、一人、また一人と公園を出ていく。あの少女がまた手を振ってくる。つられて他の何人かも手を振っていた。
小学生たちには、帰る家があるのだ。
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